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新たな男
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思いもよらない人物の名前に一瞬心臓が跳ねる。
フラれて何週間も経つのに反応する心臓に溜め息がでそうになる。
テスト前に泊まりに行って以降、二宮とは会っていないし、連絡すらとっていない。
もう大丈夫だと思っていたのに…
肩を落としながら目の前の女子をもう一度見る。
名札には『大野』の文字。
その苗字に聞き覚えがあり、しばし記憶を探る。
『そういや歩と学校同じだ。
大野茜って知らない?』
そう言って照れ臭そうにはにかむのは大好きだったあの人。
(もしかして…)
「あ…茜さん?」
「は、はい!!良かった~!
まさかあっくんと相葉君が仲いいなんてびっくりだったから!」
茜は胸を撫で下ろす仕草をして少し笑った。
平凡な顔だったが笑うと両頬にえくぼができて小さな花のように可愛い。
(二宮くんの…彼女さんだ…)
今まで嫉妬の対象だった人物とこんな形で出会うとは。
あの大きな手のひらで髪を撫でたり、筋ばった男らしい腕で目の前の彼女を抱き締めているのだろうか――――
想像してチクリと胸に棘が刺さる。
「…そんなに意外?二宮くんとぼくが知り合いって」
刺さったままの棘を気づかない振りをして平気な顔をして会話を続ける。
「あっ…悪く聞こえたらごめんなさい…
でもあっくんて昔から色んな人と大勢でワイワイしてたから一人の友達と泊まりがけで勉強会とか珍しいなって…
すごく仲良くてうらやましいくらい!」
「うらやましいなんて…そんな…ぼくには大野さんの方がよっぽど…」
“羨ましいのに”と続く言葉は心の中で呟いた。
「……あっくん、すごく楽しそうに相葉君の話するんですよ。
妬けちゃうくらい」
不意に茜の表情が暗くなる。
「最近のあっくん、一緒にいても上の空で…好きな人でもできたのかなぁって…
相葉君、何か聞いてないですか?」
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