アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
新たな男
-
どこの駅にもあるチェーン店のカフェに容姿端麗な男が二人。
向かい合って小さなテーブルに腰掛ける。
「歩くんはミルクティーだったよね?」
以前に一度お茶したのを覚えていたらしい。
にこやかに笑う亮一の手にはトレイが。
アイスミルクティーとコーヒーが乗っている。
少し席を外すと言ったのはてっきりトイレかと思っていた。
「俺から誘ったんだからこれくらいおごらせてよ」
歩に財布を出す暇も与えない。
「…すみません」
いつも亮一はそうだ。抜け目がないのだ。
イケメンな上に気遣いもデキる男なのだ。
確か遥とはナンパで知り合ったと言っていた。それが四月の中旬くらいの話。
それから一ヶ月も経たずに別れてしまったのだ。
遥と亮一が交際中、遥を訪ねて何度か家に来る亮一と少し話をしたり偶々外で会った時に一度お茶をしたりしたことはあった。
歩にとって亮一はいいお兄さん。
いつも優しくて周囲に気配りも忘れない、おまけに羨ましいくらい男前。
むしろ完璧すぎるくらい。
外が暑かったので乾いていた喉を潤そうとストローを手にとり包装されたビニールを破る。
すかさず亮一がガムシロップを3つ歩のグラス近くに置いた。
ホストばりの気遣い。
「あり…がとう、ございます…」
ぎこちなく礼を述べると迷わずシロップを3つミルクティーに投入してストローで飲み始める。
口に広がるシロップの甘味と冷たい紅茶の芳ばしさに不機嫌さも影を潜める。
そんな歩を始終満足げに見ていた亮一には気づかなかった。
「相変わらず綺麗だね、歩くん」
正面では片手で頬杖つき、ニコニコしている亮一。
「綺麗って……ぼく、男ですよ?」
「うん。でも初めて見た時から綺麗な子だなぁって思ってたんだ」
「そういうのは女の子に言ってあげて下さい」
穴が開くほど見詰めて女の子から見たら蕩けるくらいの笑顔でそんなことを言われたら落ちない女はいないのではないか。
しかし歩は男―――。
二宮に褒められるならまだしもコンプレックスにしか思えない顔を褒めちぎられても嬉しくない。
「――それで、遥のことで相談って何ですか?」
部活に遅れてしまうため、さっさと本題に入る。
「ああ、だから遥の勘違いなんだよ。歩くん、俺のこと遥に何て聞いたの?」
「…付き合ってみたら思ってたのと違うって亮一さんに言われたって…言ってました」
デートから泣き腫らした顔で帰ってきた遥。
そこから学校を代わりに行ってほしいと頼まれて全てが始まったのだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 46