アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
新たな男
-
「………遥、泣いてました」
思わず責めるような言い方になってしまい目を伏せた。
そんな歩をジッと見つめていた亮一は……
「あー…やっぱり遥、そのままの意味で捉えちゃったのか…」
頭を押さえながら悲しそうに呟いた。
「ちがうんですか?」
歩の言葉に亮一が頷く。
「俺が言いたかったのは嫌な所をお互い直そうってことだったのに話も途中で泣いちゃって帰るし、
次の日には着信拒否されてて解きたくても誤解を解けなかったんだ…」
悔しげに下唇を噛む亮一は本当に後悔しているようだった。
突然の破局の真相は結局遥も亮一もすれ違っただけだったのだ。
「じゃあ今でも亮一さんは遥のこと…?」
返事の代わりに亮一は苦笑して肩を竦めた。
「あの…ぼくに何かできることありますか?」
気付いたら身を乗り出していた。
◇◆◇◆
「は~あ…」
深々と溜め息をついて湯上がりの火照った身体のままベットに転がった。
出掛けている間に母親が外に干してくれたようで布団はまだ熱を持っていたが太陽のいい匂いがした。
結局亮一という思わぬ足止めをくらい練習試合には遅刻してしまった。
元々委員の当番だと伝えていたので顧問やキャプテンに咎められることはなかったが、試合に出させて もらえなかった。
だから体力的な疲れはないが精神的に色々あった1日だった。
天井を見上げながら今日1日を思い返していた。
なんの因果か二宮の彼女と同じ委員だったなんて。
悲しげに表情を曇らす茜が頭を過った。
“二宮に他に好きな人がいる?”
整った顔を顰めてかぶりをふる。
あり得ない――――
茜を裏切れないから、と自分が振られたばかりだ。そんなはずはない。
もしかしたら二宮のただの断り文句だったのかもしれないが。
茜は相手の幸せを思い身を引くことまで考えていた。果たして歩はそこまでできるだろうか…
――――多分できる。あの人が幸せになれるなら…
歩の大好きな笑顔でいてくれるなら。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
8 / 46