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交錯する想い
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『エーーッッ!?あゆ~~今日部活休むの~~!?』
電話越しでも耳を離さないと鼓膜に響く叫び声。電話の相手は櫻井。顧問にはすでに伝えていたが櫻井もある意味、難所だ。
「ごめん!急に用事が入っちゃって…」
『ヤダヤダ~!!用事って何!?
今日会えると思って楽しみにしてたのにぃ…!!』
だだっ子のようにひたすら渋られる。
「…部活で毎日会ってるじゃん」
『昨日だって練習試合途中から来たじゃんか~あゆ不足だぁ!!ブウブウ!!』
完全に収拾がつかなくなっていた。
さて、どうしよう…
「…今度何かオゴルよ?」
部活を休んだだけでここまでしなくてはいいのだが櫻井を落ち着かせなくては、と考えた末の事だった。
『えっっ…それって…でぇとってこと!?』
急に櫻井のテンションが上がる。デートって…
『じゃあ、じゃあ!!遊園地とかは!?ネズミーランドとか!!』
「えっ!?そんなにおごれないって」
『あゆに奢らせる訳ないじゃん!!むしろ俺が全部奢るし!』
いつの間にか話がすりかわってしまっているが取り敢えず話が収まりそうだ。
「分かったから。サクに付き合うからとにかくもう電話切るよ?
練習始まりそうでしょ?」
電話口の向こうからダムダムと床を打つボールの音や笛の音が聞こえた。
『絶対だからな!あゆ~』
思いきり上機嫌な櫻井に苦笑いしながら電話を切る。
目の前には大学生が住むには豪華すぎるくらいのデザイナーズマンション。
四角い打ちっぱなしのコンクリートのこの建物は冷たい雰囲気でどこか要塞を思わせる。
亮一のマンションだった。
玄関ロビーの天井には大きくはないがキラキラ輝くシャンデリアが飾ってある。
これだけで充分セレブな世界に足を踏み入れた気分だ。
隆之の家の応接間で目にした時もドキドキしたが場違いな気がしてならない。
緊張した指でインターフォンを押す。昨晩の電話で教えられた部屋番号。
ボタンを押すとピンポーン とチャイム音がロビーに響く。
『はい』
亮一の声。
「あ…歩、です…」
インターフォンは何故か緊張してしまう。
『歩くん?良かった!来てくれたんだね、どうぞ』
嬉しそうな亮一の声と共にオートロックの解錠の音がする。
自動ドアが開きすぐエレベーターに乗り込む。
部屋の前に着くと既にドアに背を凭れた亮一が廊下で待っていた。歩に気付くとニコリと笑いかける。
「外、暑かったでしょ?」
黒のポロシャツにジーンズというラフな格好で迎えてくれたが、ポロシャツのロゴマークは海外の高級ブランドのものでさりげなくジーンズもヴィンテージものだった。イケメンな上にお金持ちだったとは。そういえば父親が開業医だと遥が言っていた。
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