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奪還
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◇◆◇◆
重い瞼を開くと見知らぬ天井が目に入る。腕を曲げて体を起こそうとしたが力が入らずふかふかの布団に逆戻りした。
頭が重たいしズキズキ痛む。
(ここ…どこだっけ?)
ボーッと考えながらゆっくり顔を横に向けてギョッとした。
「おはよう」
そこには肩肘をつき頭を預け、寝そべる亮一の姿がある。
眩しそうに目を細め口元を綻ばせている。
途端に歩はここがどこなのか、なぜここにいるのか思い出して飛び起きようとした。
だが体に力が入らないのは変わらずベットが歩の身動ぎに微かに揺れただけだった。
「ぐっすりだったね。まだしんどい?」
頭を優しく撫でられるが歩の体は硬く縮こまる。
亮一は気にせず歩の頭を撫でたりサラサラな髪の毛に指を絡めて手触りを楽しんでいるようだ。
「俺が恐い?」
歩は少し考えてから首を横に振る。
「どうして?さっきは震えてたよ」
「……さっきは確かに恐かった…けどいまは…
こんなことして…幻滅した」
いつも穏やかな歩から発せられた一言は何よりも重く、亮一の胸をグサリとえぐる。
「嫌いになった?」
歩は答えない。
亮一の中で苛立ちが募る。
「そーかよ…じゃあ無理矢理でも奪って手に入れるから」
笑顔から一変し荒々しく歩に覆い被さり両腕を一括りに頭上にまとめる。
歩が痛みに顔を歪める。
「心なんか後付けでいい。身体だけ先に俺のものにするから」
余裕のない表情で歩の首筋に顔を埋める。
言葉とは裏腹に薄い皮膚に優しい口づけが落ちてくる。
甘噛みを繰り返せば白い肌にうっすら紅く色付く。
片手で歩の両腕を押さえ、もう片方の手はがちゃがちゃ急いた様子でベルトを外そうとする。
手付きは荒いのに触れてくる唇は優しい。
そのギャップに戸惑い耐えられなくなる。
「も…やめて……優しい人だと思ってたのに」
一瞬亮一の手が止まったがすぐに再開し、無言でベルトを抜き取り床に投げる。
下半身を撫でられた時、歩の中でプツリと何かが切れた。
「やだ…っっやだやだやだ!!
キライキライ大っキライだ!!」
自由にならない体を震わせて部屋中に響き渡る歩の叫び声。
拒絶の言葉の連呼に亮一は顔をひきつらせて力いっぱい歩の頬を叩いた。
「…どうすれば好きになってくれる?」
震えた声で泣いていたのは歩ではなく亮一だった。
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