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初恋の結末
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女だったら良かったのか――?
それとも もっと可愛いければ――?
もっと性格がよければ――?
―――いや、そうではないだろう。苦すぎる恋の後味に涙が止まらない。
ザッザッザッ、
後方から草を踏み分ける音がする。
「見付けた」
木々の隙間に挟まるようにうずくまる歩は後ろからふわっと抱き締められた。
振り返らなくても誰だか分かった。心臓が忙しなく動くのは驚いただけではない。
会いたいのに会いたくなかった人。
「マキがハッパかけただけって反省してンぞ。
何話してたんだよ?」
笑いながら頭を撫でられる。
息が上がってるのは走って追いかけてきてくれた証拠。
じん、と胸が熱くなる。
「…ッみやくッ…は好きなッ人のとごにぃッ…行き…なよッッ」
泣きすぎて鼻声になっているし、
しゃくりあげた言葉は自分でも何を言っているのか分からない。
「ごンなッ…ぼくッッなんか…に構わないッ…で…い…からッッ」
「……本当にそう思ってる?」
二宮の手のひらが撫でていた頭から離れていく。
コクコク頷く。
もう同情も心配もいらない。
二宮には好きな人の隣で笑ってほしい。
できればその位置に自分がいたかったけど…
「……分かった」
抱き締められていた熱が完全に離れた。
去っていく気配に歩は強く目を瞑り、悲鳴をあげる心臓を押さえつける。
答えは分かっていたのに心臓はその衝撃に耐えられない。
胸の痛みに気をとられて他の五感は鈍感になっていた。
二宮が前から抱き締めてきたのに気付くのに何秒も要した。
「え?」
急な事に頭がついてこない。
身体を包む温もりに目を開くと二宮の腕にしっかり抱き締められていた。
瞬きしてもそれは変わらない。
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