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おまけ①
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晴れか雨かどちらが好きか、あの可愛い恋人は何て答えるのだろう?
そう考えると早く歩に会いたくなり、逸る気持ちを抑えた。
ホームルームが終わると手早く身仕度をし、小雨のうちなら…と傘もささずに駅まで走った。
◇◆◇◆
「二宮くん!?傘もってこなかったの?髪、濡れてるよ!風邪ひいちゃう…」
待ち合わせの駅で顔を見た途端に歩は慌てて鞄から青いチェック柄のハンカチを出した。
普段は人目を気にして二人きりの時しかくっついたりしてこない癖に今は二宮の肩に手を置き背伸びして二宮の髪や制服に付いた水滴を丁寧にハンカチで拭いている。
男子高生が二人で密着する姿はやはり目立つようでチラチラと遠慮がちに送られる視線を感じながら二宮は歩に目を向けた。
自分を心配してくれる歩があまりにもいじらしく、必死にハンカチ片手に背伸びする姿があまりにも可愛くて二宮の頬は思わず緩んでしまう。
吐息が触れるほど近くにある果実のように潤った唇に今口付けたら歩は怒るだろうか?
そんな考えが頭に浮かんだが気付いたら引力のように歩の唇に吸い寄せられていた。
―――が、「今日、どこに行こっか?」一通り拭き終えた歩が身を離す方が早かった。
少しだけ残念そうに笑いながら、二宮は「そうだな…」と考えを巡らす。
久しぶりのデートだから二宮も色々と廻りたいと考えていたが生憎の雨だ、二人でゆっくりできる場所を練り直さなければ。
―――しかし、皆考えることは同じでカラオケにしてもボーリング場にしても映画館にしても満室満席でロビーでは時間を待つ人でごった返している。
これではゆっくり過ごすにはほど遠い。
やはり、雨は苦手だ。
いや、嫌いになりそうだ。
せっかくの貴重な恋人とのデートなのに…
二宮は少し肩を落として商店街を歩いていた。
そんな二宮を励ますように歩は明るい口調で
「ねぇ、ちょっとあっちの方散歩してみない?」
商店街の先を指差した。
にこりと笑う笑顔は向日葵のように華やかで二宮も「いいよ」と自然に笑い返していた。
商店街を歩いている時は天井にアーケードがあり雨をしのいでいたがその先は傘が必要になる。
歩が自分の折り畳み傘を出すと必然的に背の高い二宮が傘の柄を持つ。
一つの傘に肩を並べて大の男二人が歩く姿は些か滑稽かもしれない。
不意に歩がふふ、と笑い出した。
「どうした?」
「ううん、雨に感謝だなぁって思って」
「え?」
「だって雨のおかげで二宮くんと相合い傘できたんだよ」
そう言って笑う歩は雨でじめじめした気分も吹き飛んでしまうほど眩しい笑顔を二宮に向けていた。
「雨でも晴れでも二宮くんと一緒なら楽しいね」
全く、歩には敵わない。
堪らず二宮は歩の唇に触れるだけの口付けを落とした。
顔を離すと首まで赤く染め上げた歩が「ここ…まだ外だよ…」と恥ずかしそうに俯いた。
「大丈夫だよ、傘のおかげで隠れたから」
これからは雨が好きになりそうだ、二宮はそう思いながらしとしとと降り続ける優しい雨の音を聴く。
「歩は晴れと雨、どっちが好き?」
「んー…両方好き!!」
「じゃあ俺のことは?」
「好……って、ええっっ!?」
☆end☆
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