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act.2
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香西玲王という男は、黙って歩けばモデルのような男だ。現に有名モデル事務所に所属し、多数の雑誌の表紙を飾るほど。
ワイルド系でもあり、王子様系の顔も出来るとあって、ここ最近ではCMの出演もと、オファーがあるらしい。
一方で、大学生という年相応な顔も持ち合わせているので、この大学ではかなりの有名人とやらだ。
ただし、香西目当てで入学して来た女子の大半はまず、彼の目も当てられないクズっぷりにドン引きする。
女の子を取っ替え引っ替えは、もうそりゃ分単位だし、その後校内のどっかで必ずヤってるらしいし、それならまだイケメンだからという理由で収まるが、香西はクズなので、男女両方見境なしに食いまくる。
校内で食った数は、人気教授の受け持つクラスよりも多いし、その被害者多数な筈なんだけど、なまじ顔とか容姿に置いてはパーフェクトなので、男女からのお誘いは絶える事がない。むしろ、一回でもいいから抱かれたいっとかいう人間の方が多くて、俺はちょっとみんなの貞操観念が心配なこの頃。
「あー、ねー」
「どした?」
「や、ここで飯食うのやめね?」
「ん?・・・あぁ香西か」
「やーも、ほんっとお盛んなこった」
「逆にあそこまで本能に忠実なのも尊敬するわー」
今日も今日とて、香西は絶える事無く女の子と情事に耽っている。
空き教室で昼飯でも食うかと、数人の友人達を連れ添ってドアに手を掛ければ、案の定香西が必死に腰を振っている最中だった。
そんな場面に出くわしたのは、もう何回となってくれば、耐性もつく。
呆れ顔の友人は、その隣の空き教室へと腰を降ろした。
ここが防音なのはありがたいと思う。いろんな意味でオカズになっちゃうのは、健全な男子として中々気まずいものがあるし。
しかし、手に残る二つ分のお弁当は、香西の大好物が入っている。
あの中に入るのは骨が折れるけど、渡さないと昼を食いっぱぐれてしまうだろう。金も無いって昨日言ってたしな。携帯も無くしてしまえば、事務所からの連絡も取れないだろうに。
「・・・先に食ってて、これ香西に渡してくる」
「えー! あの中にはいんの!?」
「仕方ないさー、どこで会えるか分からないし」
「いやいや、それにしたって弁当って、甘やかしちゃだめっしょ!あれは!」
友人達の言う事はごもっともすぎるくらいだ。みんな下心があって、香西に近づくけど、俺は唯一香西にまだ手を出された事の無い人間だ。むしろ食指が動かないだけだと、俺は思ってるけど。
彼らはあーだーこーだと言うけど、ほっとけないものは仕方ない。
なんせ、あんなに面倒を見なくちゃと思ったのは香西だけなんだから。
「無駄になんのやだし、それにもうやめさせないと、仕事に遅れるだろうし」
「あーもう!なんでういって、そんな優しいのかなぁ?」
「別に普通だよ?」
「マザーテレサも、聖母マリアでさえも見捨てそうな男なのに!」
「さすがにそれはないっしょ」
「襲われないように気をつけて、ほんとそれだけが心配だよ」
「ありがとう、大丈夫だよ」
うい?と後ろから切ない声は聞こえるが、にっこりと微笑んでやれば、みんな諦めたかのように見送る。
さて、そろそろ情事も終わっただろうと、引き戸を控えめにノックする。
慌てたように、半分はだけた女子がドアから飛び出てきた。思わず受け止めると、彼女は俺を睨み付けて、走り去ってしまった。
なんかしたかな?と思いながら、窓際に座る香西へと足を向けた。
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