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その男、危険な香り03
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人懐っこい笑みを浮かべる男を見ながら、逢沢は暫く嘆きの声を胸中であげていた。
せめて、妄想の世界から戻ってきて一番初めに目にするのが結城程、顔の整っていた男ならばどれだけ良かっただろう。
「おい、逢沢ー? あ、い、ざ、わ!」
「なんなんですか」
「え? 何が?」
「もう、何なんですかぁ……! 先輩の馬鹿野郎っ」
「ちょっと逢沢ちゃん? 俺なにかした? おーい!」
「……大きな声出さなくても聞こえてます」
「それは悪かった。でもさ、お前相変わらず無表情だからつい」
無遠慮にバシバシと書類で背を叩いてくる男は、逢沢が勤める外資系コンサルタント会社の先輩だ。
どんな事にも物怖じせず、大胆な性格の為多少のことは気にしない。
悪く言えば、少し乱暴だと逢沢は嘆息の意を込めて見上げた。
「なーによ、女顔の逢沢ちゃんに見つめられると照れちゃうんだけど」
ぽっと赤く染まった頬を見て、逢沢はギョッとした。
「……冗談キツイです。それより話があったんですよね?」
しかし、逢沢は昔から感情が顔に出にくい。所謂ポーカーフェイスと言うやつで、おまけに母親譲りで顔が整っている逢沢は初対面では必ず冷たい印象を与えていた。
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