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その男、危険な香り14
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やがて逢沢に対する文句は陰口だけでは済まずに、目に見てもわかるほど浮き上がってきた。
自分でも態度の悪さを自覚はしていた分、仕方ないと思うことで耐えていた。
もう少し愛想よく出来たならば少しは良くなっただろう、そう思い現状を変える為に行動に移そうとしたことも何度もあった。
しかし、毎回失敗に終わるのだ。
無表情や口下手だなんて、そういうもの以前に人と深く関わることを嫌い遠ざかってきた逢沢には、当たり前に出来るコミニュケーションがとても高い壁の様であった。
おまけに相手は自分を嫌っている。
そんな人達を相手に上手い話をするでもなく、気の利いたお世辞一つ言えないのだから苛つかせてしまうのは仕方のない事だろう。
しかし、本当は仲良くしたいだなんて事が相手に通じる筈もない。
その日はいつにも増して苛立せてしまったのか、逢沢が淹れた珈琲を先輩に差し出した時「馬鹿にしてるのか」と怒鳴られひっくり返されてしまった。
真っ白なワイシャツと袖に染み込む黒いシミ。
まるでそれは、逢沢自身の心に広がっていく様子を具現化したようで、腕の火傷の痛みよりも何よりも、自分が情けなくて逢沢は休憩室を逃げ出す様に去った。
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