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笑う。
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さっきのヤツに眼鏡を返してもらうために教室を出たキモ川は、本当に何も見えないのか、消火器蹴り倒すわ柱に顔面ぶつけるわで。
それをいちごオレ飲みつつ教室の扉にもたれ掛かって見ている俺。
あのまま階段とか降りたらコケてアイツ死ぬんじゃね?
いや、さすがにそこまで注意力なくはないか。まぁ別にコケたところで俺が損することねぇからいいか。
手で前を確かめながら、ふらふらとしどろもどろに歩く後ろ姿が妙に面白くて、スマホでパシャッと1枚。
キモ川が階段の踊り場にたどり着いたところではっと気づく。手すりを掴む様子が見当たらない。歩調も変わらない。
……もしかして、あのバカ階段があるの見えてないんじゃね?
やばい、よな?
さすがに。
俺が走り出したと同時に、「あっ」と口を開いて足元を崩すキモ川の影が見えた。そして、そのまま落ちるように階段の下へ姿を消す。
やべ、って
思わず口に出る。
猛ダッシュで階段に駆け寄る。もしあのアホヅラが盛大にぶっコケて頭から血でも出してたらまず救急車呼んで、いや先生呼ぶ方が先か、とにかく急いで階段を駆け下りた。
けど、目に入った光景を見て足が止まる。
「いったたた……あれ!?星くんっ?大丈夫!!?」
「……はぁ。なんで下川が上から降ってくるんだよ」
「ごめ、眼鏡してなくて見えなかった……ごめんね、痛くない?」
目の前には、キモ川と見覚えのある奴がいて。
「痛いのはそっちだろ。頭打った?血出てる。」
「ええっ!うそっ、」
「ははは。うそ。」
どうやら、コケた先で間一髪、受け止めてもらえたっぽい。
…まぁ、あれだ。死んでなくてよかった。
俺が走るまでもなかったな。
「あっ!そうだ星くんっ、眼鏡返して!」
「は?」
「そう!眼鏡ないと何も見えないから」
「あー。そう言えば俺が持ってたんだっけ。はい。かえす。」
そういえば。
キモ川が俺以外と喋ってんの見たことなかった。こんなに違和感があるもんなのか。
違和感……と、いうか、なんか。
ああやって笑ってんの見るとムカつく。俺の前では滅多に笑わねぇくせに。
下向くか俺の顔ガン見か、それとも顔真っ赤か。まともな顔見たことねぇ。
なのになんだ、あの楽しそうな顔。
キモ。
なんなんだよまじで。
こんなことでムカつく俺もなんなんだ。
くそ。
…くそッ。
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