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起きる。
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バシャッという強烈なシャッター音と雷のようなフラッシュで起こされた。
「起きた?」
「あっ、ごめん星くん⋯眠くて⋯」
「いいよ、そのまま起きないで。」
星くんは、僕のおへその上にまたがって一眼で僕を凝視している。
「あれ⋯?星くん軽いね」
「下川が潰れないよう足に力掛けてんだよ。俺の太ももが限界に近いから早く済ませる。」
「わかった⋯」
眼鏡を取ろうと手を伸ばすと、腕を捕まれ2秒で阻止された。
「眼鏡は付けないで。」
「⋯はい」
「今日このベッドで撮る予定だったからちょうど良かった。とにかく下川はそのまま動かないで。今から脱がせるけど隠すなよ。」
「はい⋯って、え?」
待って今すごいセリフが聞こえたんだけど気のせいかな。
戸惑ってるうちに星くんは僕のネクタイを外しにかかる。
「ほっ、星くん!?脱がすって、どんなコンクールなの!?」
「どんなって、普通の。大丈夫。大事なとこは隠すから。」
あああ恥ずかしい⋯
「脱がしてもなにも出てこないよ⋯こんなひょろひょろ撮ってもいいことないよ⋯」
「その顔すごくいい。」
「そうですか⋯」
カメラマンは変人が多いってよく聞くけど、なんかわかる気がするなあ⋯
「なんか、もっとさ、こう⋯」
「?⋯なに?」
「もっと色気ちょうだい。泣くとか顔赤らめるとかでもいいから」
「いっ、いろけ!?そんなの急に言われても⋯」
カメラを抱えたまま首をかしげ、僕を見つめる。いや、そんな顔されても急に泣けないよ。
「下川さ、」
「何?」
「キスしたことある?」
きっ⋯、
「ない!ないよ!?」
「セックスは?」
「なっ!?もっとないよ!?!」
「⋯⋯わかった。」
「何が!?」
首に掛けたカメラを外し、ベッドの横の荷物置きに置いて、僕を向いて一瞬だけにこ、と笑った。
「じゃあ俺が初めてってことになるよな⋯?」
「⋯⋯は、」
謎めいた発言をしてネクタイをゆるめる星くん。何故か身の危険を感じて起き上がろうと試みるも、肩を押されて身動きが取れなくなった。
「あの、星くん、起き上がってもいいでしょうか」
「なんで?」
「⋯とっ、ととととととトイレに」
「ダメだね」
いつもカメラを触ってる太い指が、ふわ、と頬を撫でる。星くんはあまり感情を表に出さない方で、今もきっといつもの真顔なんだろうけど、雰囲気からして、なんか、なんか⋯
「眼鏡してない今さ、この距離で俺の顔、見えてる?」
「あんまり⋯んっ、」
あ、やばい、その手つきで耳触られるとおかしくなる。
「⋯いいね、その顔。だんだんとろけてく感じ。」
「だめっ、くすぐった⋯っ、」
ギシッ、とベッドが軋む。
星くんの体重が前にかかって、僕の顔の横についた大きい手のひらを中心に、シーツが沈んで深いシワができた。
「目、見えないなら開けてても閉じてても同じか。」
「なに、なんのこと⋯?」
顔が、ぐっと近くなる。驚く間もなく頬に唇が触れて、ちゅっ、と音を立てて離れていった。
「ふっ、下川のそんな顔初めて見るな。」
「え、いや⋯ちょっと、びっくりして、」
「脱がすね」
「えっ!?ちょ、」
脱がすって普通に脱がすだけだよね⋯?星くんの思考が読めないんだけど今から何が始まるのか全然わかんないんだけど⋯
外されたボタンの隙間から、てのひらがするすると入り込んでくる。くすぐったくてふふって笑うと、「ずいぶん余裕だな」と言われた。
「下川はさ、男が好きなの?」
「⋯⋯⋯え、」
しまった、反論するタイミングも否定するタイミングも逃してしまった。
ていうかなんで今そんなこと聞くの。
突然過ぎて、息をするのを忘れた。
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