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空く。
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体育の授業が終わる頃には、キモ川は教室に戻っていた。
ただ、その後の授業も手を膝に乗せ俯いて、ずっと机を見つめてた。
帰りのHRで席替えをし、俺は主人公席とも呼ばれる窓際一番後ろの特等席になった。
そしてなんと前の席はキモ川。これでいちいち呼ばなくてもパシることが出来る。とても有意義。
「おいキモ川」
「ひっ!はい!」
キモ川の座る椅子に足をのせ、名前を呼ぶ。
窓際で空気が寒かったのか、振り向いた時には頬と鼻を赤くしてた。
「お前⋯どっかのあんぱんの顔したヒーローみたいになってんぞ」
「ええっ、そ、そうかな」
袖口が伸びきったセーターで顔を覆い隠す。世間で言う「萌え袖」ってやつで、こいつはそれが妙に似合ってた。
なんか、様になっている。というか。
面白。
「え、」
「あ?なんだよ」
「あ、いや、なんでもないです」
「なんだよ言えやコラ」
「ああああ、あの、ちがくて、上谷くん今笑ったから、ちょっと、ビックリして」
は?
「笑ってねぇわぶっ飛ばすぞキモ川」
「ひいぃごめんなさい!」
てか笑ったからビックリしたってなんだよ。普通に普段から笑うっつーの。
それ言ったらお前だって滅多に笑わねぇだろいっつもびくびくビクビクしてるくせによ。
ボケが。
放課後、ほとんどのクラスメイトが部活やら用事やらで帰り、俺も掃除を終えてさぁ帰ろうとした時にふと視界に映るキモ川。
「は?お前なんで日誌書いてんの?今日の日直お前じゃねぇだろ」
「あ、これは、頼まれて⋯」
「はぁぁあ???」
いや、こいつ、まじで、救いようのないパシリキャラだわ。パシッてる俺が言うのもなんだけど大丈夫かよこんなんで。
「放課後友達と約束があるから、それまでなら時間あるしいいかなって⋯おもって⋯」
「ふーん。」
へぇ。キモ川から「友達」というワードが出たことに驚き。誰かと喋ってるとこ見ねぇもんな。
「下川、」
と、急に背後から声がして振り返るといつぞやの根暗そうなモヤシが立っていた。こいつか、キモ川の唯一(?)の友達。
「星くん、ちょっと待ってね」
「星くん」と呼ばれたモヤシは、俺をギロりと睨んだあとにキモ川に言った。
「下川、コイツに脅されたりいじめられたら俺のとこに来なよ。」
「えっ」
「はぁ!??脅してねぇわボケが!!」
いちいちカンに障ること言いやがる。モヤシの分際で。
「で?アンタは何、下川に用事?」
「あ?別にねぇけど」
「じゃ帰れば。なんでいつまでも下川に絡んでんの」
「べっっっつに絡んでねぇようっせえな今から帰んだよお前こそ下川下川きめぇんだよクソが早く帰れや」
はーーームカつく。誰がこんな奴と好きこのんで放課後駄弁るんだよ意味わかんねぇわ。気持ち悪ぃ解釈してんじゃねぇ。
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