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刺さる。
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身長が低くて、眼鏡でビビリで運動もダメ。おまけに細くて弱っちい。
それが僕、下川 雪。
頼りない外見のせいでいじめられるのはしょっちゅうだったけど、今となっては誰の目にも止まってない感じです。
要するに、何を言うにもするにも相手にされてない。
教室の隅でキノコのようにひっそりジメジメと薄暗い生活を送るのにも慣れてきた。
そんな日常の中で、誰の目にもくれない心臓の奥深くに、変な感情が刺さっていたのに気がついた。
抜いても抜いてもいつの間にか刺さってる、トゲのように尖った異物。
ある日その異物が、教室の中で見境なく飛んでくる事に気がついた。
毎回同じ角度から、聞こえる声、姿と一緒に。
それを僕はいつの間にか、
心臓が痛くなるのがわかってて視線を向けるようになった。
授業内容が頭に入ってこないのはきっとその痛さに、その人に夢中だから。
相手は男。
自分も男。
しかも僕とは真反対の性格。
傲慢で悪質ないじめっ子なのに。
悩んでモヤモヤして傷ついてそれでも思い続けてなんて、女の子でもあるまいし。
とにかくこんな感情に浸ってる自分が気持ち悪いので、ルーズリーフに吐き出すように殴り書きをした。
あらためて見ると、何ともポエムじみたラブレターだった。
渡すつもりのない、発散するために書いた気色の悪いラブレターは日に日に数を増していき、この気持ちは書き留めるだけでは無くならないものだと気づいた時にはもう遅くて。
授業中、もしくは廊下、グラウンドでも
彼の声が聞こえる度に、心臓がギリギリと痛む。
なのにその声をもっと聞きたいと思ってしまう僕は、ひょっとしてマゾなのかな。
声を聞いただけでこんなになるんだ。間近で、目なんか合ったりしたらきっと僕は、
溶けてなくなってしまうだろうな。
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