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来たる。
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上谷 聡太。
その言動は、いじめっ子なんて可愛らしい言葉で片付くものではなくて。
実際誰かに暴力を振るったり暴言を吐いたりするところは噂でしか聞かないけど、いるだけで妙な威圧感がある。
彼自身が放つ雰囲気に、クラス全体が従わなければならないリーダー格のような存在。
最近は名前を聞くだけで飛び上がりそうなくらい意識してたのに。
「なぁ、聞いてんの?これお前が書いたヤツ?」
今、目の前に、いる。
答えられず、口がぱくぱくと動く。緊張で喉から風の音しかしないのに、彼はじっと僕の答えを求めてる。
近くで見る迫力に気圧されて、後ずさりしてしまう。
......だって、やっぱりカッコイイんだもん。
遠くから見るだけでも動機が激しくなる、なのにこのキラキラした顔面をこんな間近でどうやって直視できようか。
「おーい。メガネくん?」
「ぁ......と、そのッ、」
喋れないから返事出来るはずもなく。それを腹立たしく思ったのか、バッチリ整った眉毛が片方だけ歪んだ。
「なぁーにモジモジしてんの?キモいよ?」
「......な、あッ、」
ズキーンッて、稲妻が体の中心を駆け抜けた。
き、キモイって言われた。
死ねってことだろうか。
「これお前が書いたんだろ?何、恋文?恥っずかしー。」
「......ごっ、ごめ、」
ばくばく、
ズキズキ、
目頭が熱くなる。
このあとその紙はくしゃくしゃに丸められて、飲みかけのジュースでべたついたゴミ箱にポイされちゃうんだろう。
あるいは教卓の前でみんなに聞こえるように音読されるか、写真撮られてSNSで挙げられるかのどれか。
ああ、どっちにしてももう生きていけない。
本人に見られたんだ、宛名を書いてないとはいえ暗くてキモいラブレター書く奴だと思われた。
「つーかさ、授業中も俺のこと睨んでくるけど何なの?」
「あっ、違う、睨んでなんか......ない、」
気付かれてた。恥ずかしい。
「ふーん.....まぁイイけど。」
よく考えたら、この人の性格をあまり知らなかった。
キモいとか平然と言えちゃう人なんだとか、勝手に傷ついてしまったり。
「あのっ、それ.....」
「ああコレ?返して欲しい?」
必死で頭を縦に降る。が、素直に返してくれるわけもなかった。
「じゃーさ、代わりに俺のいうこと聞けよ。一週間でいーや。」
「いっ、言うこと、聞けばいいの......?」
「聞くだけじゃダメな。俺の命令を聞いて実行に移せ。
そだな......とりあえずジンジャーエール買って来い。」
「わ、わかった...!」
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