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呼ぶ。
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ジンジャーエール買って来い。逆らえないのをいいことに命令して、嫌そうな顔すると思ったのに。
「わかった!」とか、ぱぁっと顔を明るくして、自販機まで走ってった。
俺としてはイジりがいがなくてちょい物足りん気もするが、まぁイイだろう。
これで一週間は自分の足でジュース買いに行くことも昼飯買いに行くこともしなくていいって訳だ。
いやー、世の中上手く生きてく人間ってのは俺みたいなのを言うんだろーな。常に人の上に立ってる、みたいな?コレが俺の天賦の才?
「はぁっ......はぁっ、かっ、買ってきた!」
「おー。意外に早かったじゃん。」
「あのっ、あのねッ!」
汗だくでメガネずらして、息切れ切れのくせに満面の笑み。どーしてそんなに嬉しそーなの?本気で、キモい。
「しっ、新発売のと普通の前からあるヤツと、どっちがいい?」
「......は?」
「二つ、あったから...選べなくて、」
笑顔がだんだん消えてく。多分、自分だけで盛り上がってんの恥ずかしくなってきたんだろうな。
「......新発売の。」
「はいっ...ど、どうぞ。」
「ん。」
...腑に落ちねぇ。
なに気ぃ使ってんの?二つ買うとか、べっつにどっちでもイイし。
「...どーすんの?そっちのジンジャーエール。自分で飲むんか?」
「あっ、いや、僕炭酸苦手だから....」
あーもーまじで先のことなんも考えてねぇよ馬鹿なの?もっとさー上手いことやろーぜ?命令しといてなんだけどね?
「...ちょっと、お前こっち来い。」
「えっ?」
「いーから。来いやコラ」
顔に手を伸ばすと、殴られると思ったらしく、「ひっ!」って情けない声を上げて、ギュッと目を瞑る。
「何だよ。怖がってんじゃねぇよ。」
傾いたメガネを直してやると、そっと目を開いた。
「......あっ、」
「何?」
「あっ、ああああああり、ありがとございます......ッ!!!」
一瞬で耳まで赤くさせて、こっちまで恥ずかしくなるくらい、照れながらのお礼。
新鮮で、少しだけ口元が綻ぶ。
そしたら、メガネっ面が顔を真っ赤に染めて口をぽかんと開けていた。
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