アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
休日の過ごし方(6)
-
昼食を終え、何処にもよらず皐月の家へと向かった。久々に入った部屋は、相変わらず片付けられていて物はそんなにない。
「参考書とか、デザインノートとか持っていかなくていいのか?」
本棚に置かれていた分厚い一冊のノートを手に取る。その中は、雑誌などの切り抜きやお菓子などのパッケージが貼られていて、懐かしい物もあれば見た事のない物もあって、見るのが楽しい。表紙に書かれた日付は皐月がまだ学生だった頃の年。まだ5冊あるのをパラパラと見ると、つい最近の日付のものを発見した。
「何冊かは持っていきますけど、残りは置いていきます。また、そのうち必要だったら取りに来ます。」
「このスクラッチブックは?」
「それは置いていくつもりです。」
「これ、俺貰っても良い?」
「良いですけど…全部ですか?」
「あぁ。駄目か?」
「いえ、どうぞ。」
許可を貰ったから6冊ダンボールの中に入れる。何度か来たことはあっても、流石に部屋の隅々を見るなんて事はしないから、今日一緒にきてよかった。
デザインノートも欲しいけど、流石に貰えないだろう。でも、まぁ一緒に暮らしているのだから、俺の家に持っていけば貰わなくても、見させて貰ったら良いし。というか、俺がさっきから許可もなく見ていても何も言わないな。見られて困るものは何もないってことか。参考書は、参考書に直接メモをするのではなく、付箋を貼っていて少し厚さが増している。直接メモしたら売れないしな。
皐月の方は、服を粗方詰め終えたのか冷蔵庫の中を確認しに行った。後ろから少し覗いてみれば、殆ど物が入っていない。…俺の家に住むことになったのは、急だったから冷蔵庫の中には多少食材とかが入っている筈なのに。
「…チルドとか、冷凍食品しかないな。あと、調味料と。」
「いります?」
「勿体無いからもらうけど。お前、本当に食生活駄目だな。」
「そりゃあ、誰かと住んでいるわけでもない一人暮らしの男は、一般的にこんなもんですよ。康介さんみたいに、自炊しないですって。」
「もう尚更、健康に良い料理を作らないといけない気がしてきた。」
「今のままでも十分凄いですから。」
調味料でさえ、俺の家にあるかずに比べると半分あるかないかぐらいだろう。冷凍庫の中は、冷凍食品とアイスしか入ってなく、シンクの下の棚には、レトルト食品やインスタントラーメン。あと気になったのは、何故かダンボールごと置かれている野菜ジュース。…これで野菜を摂取したら良いか的な?言ってくれれば、皐月の分の作り置きおかずも作っておいたし、何なら俺が料理をしにきたのに。
「あと他に、何か必要なものとかありますか?」
「ありますかもなにも、殆ど家具とか食材とかないじゃねぇか。」
「必要最低限しか買わなかったので。」
「もう、俺の家ではそんな事気にしなくていいからな。」
「哀れみに満ちた目で見ないで下さい。」
今日は、おかずを沢山作ろう。…お菓子は、今度から全部俺が作った物だけを食べさせようか。皐月は、食べなくはないけれど甘い物がそんなに得意ではないと言っていたから、糖尿病にもならないように糖分控えめの物を作ろう。
ある程度の荷物を車に運んだものの、あの細い腕に重いダンボールを持たせるのは不安で軽い物だけを持たせた。そうすると、そこまで貧弱じゃないと怒られたけど、そう思わせる程細いお前が悪いんだ。
「何が食べたい。」
「いつも俺に聞いてばかりじゃなくて、康介さんが食べたい物を作ったらどうですか。」
「俺は、お前が食べたい物が食べたいからいいんだよ。」
「…それ、かなり重いですよ。」
「重い方が皐月は好きだろ。」
「…自意識過剰。」
何が食べたいとか思い浮かばないし、皐月が食べたいと思う物を食べさせてあげたい。皐月に美味しいと言ってもらう為に作っているようなものなんだから。あぁ、でも今日はパスタとかじゃなくて、何種類かおかずを作りたいとだけ思ってる。そこだけは譲れないな。メインだけを決めてくれればいいのに。
暫く考えていたようで、皐月は肉じゃがが食べたいと言う。和食か。冷蔵庫の中に、ほうれん草の胡麻和えと大根と人参の酢の物がある。鯖が安いから鯖の塩焼きを作って、卵焼きと豆腐とわかめの味噌汁でいいか。じゃあ、買っていくのは鯖と糸こんにゃくと牛肉とさやえんどう豆だけか。
「デザートとか要らないか?」
「大丈夫ですよ。いつも少し量が多いくらいですから。」
「少食だな。んー、欲しいものないのか。」
「ないですよ。そんなに買おうとしなくても良いんじゃないですか。」
…もっと、欲を出せばいいのに。
「明日の昼と夜は何が良い。」
「もうカップ麺で良くないですかね。考えるのが面倒ですよ。」
「カップ麺なんか、体に悪いから却下だ。じゃあ、偶には中華にするか。エビチリ嫌いか?」
「エビチリ好きです。」
…あぁ、俺は末期かもしれない。エビチリが好きだと言ったのはわかってるのに、俺の事が好きだと脳で変換してしまう。
一つ一つの仕草にときめいて、今まで付き合ってきた事はあってもこんなにも胸が苦しくなる事はなかった。ずっと、待っているつもり。それなのに、早く俺の事が好きだと言って欲しい。もし、挿れられるのが嫌だから無理だと言うのなら、俺がお前に挿れられてもいいと思い始めている。 …いや、もうその方が良い。自分が喘ぐ姿はキモいだけだけど、皐月が俺を見下ろして余裕のなさそうな顔をしていたらと想像するだけで、ドキドキする。もしくは、両方やるのもありか。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
19 / 44