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休日の過ごし方(8)
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~ Satuki’s side ~
もっと早くからこう言っておけばよかったんだ。だって流石にさ、料理も食器洗いもさせないって可笑しいだろ。他に何かしようにも、全部先に康介さんが終わらせてしまっているからどうしようもない。
…というか、さっきは敢えてスルーしたけれど、遂に俺に抱かれたいとまで思い出したのかと思うと、この人は俺と一緒に居ることでどんどん駄目な人間になっていっているんじゃないかと不安になる。散々、自分は抱かれる側ではないと言い張っていたくせに、付き合わない理由が、挿れられるのが嫌だったらって。それ以前の問題だっての。
俺は、好きな人としか付き合いたくない。いくら尊敬しているからといえ、まだ俺は康介さんの事は恋愛対象には見ることは出来ない。好きじゃなくてもセックスは出来るのか…、それは出来なくはないけれど。もしその行為をしたとして、それはこの関係が崩れてしまうに違いないし、ギクシャクしそうだ。きっと、そんな事をしたら俺以上に康介さんの方が傷つくのに。流石に、そこまで俺は馬鹿じゃない。
「皐月?」
「はい。」
「眠いんだったら、ベッドで寝ろよ。」
「もう少し起きています。」
さり気ない気遣いとか、優しさに何故俺何だろうといつも思ってしまう。好きという気持ちをぶつけてくる度に、申し訳なくなる。きっと、康介さんはそういう事を望んでいるわけではないのに。
「じゃあ、俺も一緒の起きていよ。」
「俺に合わせなくてもいいですよ。自分のペースで過ごして下さい。」
「んー、こうやって喋っていたいから良いんだよ。」
そう言って、俺に体をもたれさせてくる。…もう、この状態って傍から見たら恋人だよな。
でも、やっぱり眠たいのかうとうとしてる。俺の前では基本的に格好つけているから、こういう姿は新鮮だ。だけど、俺は康介さんを運ぶ力はないから起きてもらうしかない。
「やっぱり寝ますから、ベッド行きますよ。」
「ん。」
ぽんぽんと肩を叩くと、眠そうに目を擦りながらゆっくりと立ち上がる。…本当に珍しいな。こんな姿が見られるのは。急遽俺は在宅ワークになったけれど、3月はとても忙しい時期で。サイトのリニューアル等の以来が沢山押し寄せる。そんな中で、俺に対してイライラしたりもして、外には出ないものの疲れが溜まっていたのかもしれない。
というか、この人自分が疲れている事に気づかない体質なんじゃないか?人の事に関しては敏感だけど、自分の事に関しては鈍感なんだろうか。で、俺の前では格好つけたいから余計に疲れを癒せないんじゃないだろうか。それに、康介さんの誕生日が近づいている。
「明日は、昼までゆっくり寝ましょうね。」
「ん、おやすみ。」
「おやすみなさい。」
いつものように、抱きつかれて眠りにつく。抵抗もしなくなった自分が怖いな。
明日は、何に付き合わされるんだろうな。こうやって、一緒に暮らすことになって話相手が出来た事は嬉しい。一人暮らしだと、話し相手がいなくてつまらないから。それに、一人になると何故かネガティブ思考になって気が滅入るから、そういった点では一緒に暮らして正解なんだけど。生活習慣は、崩されっぱなしだから落ち着かないんだよな。
つい最近では、シェアハウスでもしようかと思ったりもしていた。多分、そうなっていたら俺も住むとか言い出しそう。もしくは、意地でもさせないか。
本当、康介さんと光さんは正反対。だけど、執着している所とか、嫉妬で性格が変わってしまう所は少し似ているかもしれない。
昔から、俺の周りには少し面倒というか、執着心の強い人が集まってきていたな。適当に対処していたけれど。何でだろう。そういう人を惹きつけるフェロモンでもあるんだろうか。
恋愛はしないと決めた。でも、それはただ自分が傷つくのが嫌で逃げているんだって事はわかってる。自分が、嫌なことあったら逃げ出す習性があることもちゃんとわかってる。康介さんにも言われたし。でも、ここまでアピールが凄いと決意が揺らいでき始めた。ギャップとか、弱みとか、そういうのに俺は惹かれてしまうから。だから、ちゃんと好きになったら気持ちを伝えてしまおうか。なんて思うだけだけど。
少し長く伸びている前髪を分けてみる。
「格好つけても、俺はときめかないんですけども。」
無防備にそうやって寝ている方が、距離が近く感じる。と思う人の方が多いんじゃないだろうか。
今年は桜が咲くのが遅い。花見をしようと言ったことを、この人は覚えているんだろうか。多分、張り切って弁当を作りそうだな。満開の桜の下で、2人で弁当を広げるんだろう。多少痛い気もするけれど、この人は気にしなさそうだな。楽しそうに、一人でも喋っていそう。
もう、来月から4月なのかと思うと時間の流れは早いと思う。今年は新入社員がデザイナーとエンジニアの2人だったっけ。俺が入社する前はどうだったかわからないけど、今までで辞めた人がいないから凄い。まぁ、残業手当とか福利厚生がしっかりしているというのもあるんだろうけど、人間関係も飯塚さんを覗いてドロドロしていないからというのもあるんだろうな。
豆電球の明かりがついていて、部屋が真っ暗じゃない。その少しの明かりが、眠りにつくのに邪魔だと思うけれど、そんな小さな我儘を言いたくなくて、目を閉じて腕で光を遮る。康介さんが少し身じろいで、足を絡めてくる。…寝返りしないんだろうか。朝までこの状態で寝るってキツくないか?
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