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変化(7)
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「痛くないですか。」
「別に。」
「嘘。思いっきりシワ寄ってますよ。」
眉間のシワを抑えると、それまで逸らされていた目がこちらを向く。ほら、俺はちゃんと言ったのに。俺も少し手伝ったけど、初めてだからそう簡単にすぐに解れるわけないんだ。どんな痛みなのか、俺は経験した事はないけど、凄く痛そうだ。
「時間はあるんだから、ゆっくりでいいじゃないですか。ちょっと、休憩しましょう。」
「何か、すっごい幸せな気分。」
中に挿れたままの、繋がった状態で抱きしめる。幸せな気分という、この人の気持ちが何となく分かる。何がと聞かれるとわからないけど、何か…うん。抱きしめたままの状態で黙っていると、俺の髪の毛を触りだしてむず痒い。ぐしゃぐしゃにするわけでも、三つ編みとかをするわけでもなく。髪の毛を指ですいたり、なでたり。そういえば、前に俺の髪の毛が好きだとか言っていた気もする。
…筋肉も妬ましいけど、大きいんだよなぁ。俺のと比べると。性格以外、いいとこ取りだろ。
休憩と言っているのに、俺の髪の毛を触るだけで何を興奮しているのか、耳に荒い息がかかって背筋がゾワァっとするし、萎えずに相も変わらず濡れたままだし。俺の貧弱な体では、この人の体重に耐えるのに段々背中が痛くなってきて、上体を起こして座り直す。その拍子に、深く入ってしまったみたいで、悲鳴に近い声が耳を劈く。
「あ、すみません。」
「…いや、大丈夫だ。」
「一旦、抜きましょうか?」
「嫌だ。」
言うと思った。それどころか、ずっとこのままで居たいと言い始める。そんな事出来るわけないことを知っていても、本当にそうしたいと思っているんだろうなと伝わってくる。
そろそろ動いてもいいかと思い、これ以上の痛みを与えないようにとゆっくり腰を動かす。好きだと言われたキスと、初めてだからまだ中で感じることは出来ないだろうから、前をいじってやる。そうすると、ただでさえキツいのに感じているのか締め付けてきて、こっちは耐えるのに必死だ。
座ってだと動かしくくて、押し倒す。もちろん、繋がったままで。見下ろす体制だと表情も、体もよく見ることが出来て。ほんのり赤く染まった顔と、痛くてなのか、感じてなのか潤んだ瞳が唆られる。伸ばされた手に答えるように、体制を前へと傾けて首に腕を回させる。
「その顔好きだ。」
「どんな顔ですか。」
「喰われてしまいそうになる。」
「よくわからない。」
そういうあなたは、喰ってほしそうな顔をしてると伝えてあげたい。
何度も、奥を突いてやって、その間に前の良いところも弄ってやる。すると、絶頂は早くにやってきた。さっきイッたばかりなのに、最近ご無沙汰だったらしいので、そのせいだろうか。腰が浮いてきたなと思えば、中を締めてイくものだから頑張って耐えて、中から抜き出し、テーブルの上に置かれていたティッシュを何枚か手に取り、そこに自分のを出す。
「中に出せよ。」
「いや、ゴムしてなかったし。」
「中が良かった。」
「お腹下しますよ。」
汗をかいたから、気を効かせて水で絞ったタオルを渡せば文句を言われる。時間をかけてゆっくりしたせいか、案外体は疲れてない。ささっと、自分の体を拭いて服を着る。
「でも、挿れられる側のセンスあるんじゃないですか。」
「そうなのか。」
「いや、わからないですけど…。可愛かったですよ。」
素直に思っている事を述べると目を丸くされる。年上に可愛いなんて言うもんじゃなかっただろうか。なんて気にしていると、珍しく照れた表情をするものだから、こっちまで照れるじゃないか。その事が伝わらないように、キッチンへと移動する。てっきり、ドヤ顔とか調子に乗るものだと思っていたから、その反応は頭になかった。
体を労って、代わりに夕飯を作る。康介さんは余韻に浸っているのか、さっき俺が言った言葉にまだ戸惑っているのか、自分が作るからと今日は寄って来ない。まだ裸の状態で、ソファに座ってこちらを見ているだけだ。
手軽な焼きそばを作って、康介さんの好きな紅しょうがを沢山盛ってやる。自分のには乗せない。
「食べる前に、服持ってきたから着てください。」
「あぁ。ありがと。」
服を渡し隣に座って、先に食べ始める。いつもと変わらない。それなのに、ヤッた後だと何か少し気まずい。テレビを観ていても内容は全然入ってこない。少しの動作でも、隣に意識を集中させてしまう。何だろう、たったさっきの行為だけでそんなはずはないのに、雰囲気が変わったように感じてしまう。フィルターでもかかってるのか。
「今日から、風呂も一緒に入ろうな。」
「遠慮しときます。」
「毎日欠かさずシような。」
「体力持たないです。」
「毎晩寝るときは抱きしめ合おうか。」
「いや、いいです。」
「…夢じゃないよな。明日になったら、付き合ってなかったとか。キスもセックスもなかったことにならないよな。」
「なりませんよ。」
ゆっくり恋人がすることをしていこうとと言っても、今日付き合って、キスをして、セックスもして。全部一気に詰め込みすぎたから、実感がわかないのは俺もだ。まぁ、キスは前にしていたし、一緒に暮らしているし、ベッドで一緒に寝ているし。していなかったのは、恋人という関係の名前を持つことと、セックスだけで。
最中の表情とか、雰囲気とかガラリと変わり過ぎていて、この人と本当にシたのかそれさえも実感わかない。可愛かったけど。
先に食べ始めたはずなのに、相も変わらず康介さんの方が先に食べ終わって、俺が食べている姿をじーっと見られる。ただ、いつもと違うのはその視線に熱意がこもっていることだ。
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