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変化(10)
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朝起きると、寝る前の状態のままでホッとした。昨晩は、本当にセックスをすることはなかったが、抱きしめた状態で一緒に寝てくれた。…早速風邪をひいたらしい。頭が少し痛いし、ダルいし、喉が痛い。けれど、これぐらいなら何もしなくてもそのうち治るだろう。それでも、明日には治っていてほしいが。じゃないと、仕事に影響する。
昨日は、昼も夜も皐月が作ってくれたから、今日こそは俺が作らないと。ずっと、このまま、抱きしめられたままでいたいが今は我慢だ。作り置きがそろそろきれる。皐月のことだから、どうせ昼ぐらいまで寝たいだろうから今日は寝かせておいてやろうか。寝てる間に何品かは作れるだろうし、掃除機は煩いからなしで掃除をして、洗濯もしてしまおう。とりあえず、服を着ないとだな。体が弱いことはわかっていても、裸の方が楽だからつい上だけでも脱いでしまう。
そう思い、ベッドから降りようとしたら、腰がたたず膝から崩れ落ちそうになった所を、後ろから腰に回された腕に阻止された。
「後から効果が現れるとか、歳ですか。」
「…起きてたのか。」
「何したかったんです?」
「家事をしようと思ってな。」
頭がぐわんぐわんと響いて気持ち悪い。けど、平然でいないと。
「今日も、家で一日過ごしましょう。康介さんは、ベッドの上で過ごしてください。家事とかは俺がやりますから、トイレ行きたかったら呼んで下さい。」
「いや、皐月は何もしなくていい。俺がやる。」
「立てないのに無理でしょ。」
ポンッとそう強くない力で肩を押されただけなのに、体を支える力もあまりなく後ろに倒れる。その振動でまた、頭が響いて吐きそうだ。
そんな俺を見下ろして、皐月はほらみたことかと言いたげな表情で、ベッドから降りていく。
「皐月。」
「はい。」
「皐月ッ。」
「どうしたんですか?」
俺が名前を呼べば、部屋を出て行くのをやめてベッドに戻ってきてくれる。そして、何も言ってないのに体を起こされ抱きしめられた挙句、頭を撫でられて、何か情けないのに安心する。
「ほんと、どうしたんですか。最近、情緒不安定じゃないです?」
「そんなこと、ない。」
「…一旦、このまま二度寝しますか。」
普段は無駄口叩くし、冷たいのにこういう時だけ優しいから無理。気持ち悪くて吐きそうだが、今抱かれたいと思っている自分がいる。ついさっきの状態に戻って、寝るようにと促されているのか、ずっと頭を撫でられていて。それよりも、もっと感じさせてくれ。もっと、皐月のことで頭がいっぱいになるような、それ以外考えられないような状態になるようなことをしたいんだ。
そんな事を考えているせいか、体が熱くなるし下腹部がジーンとしてくる。そうなれば、今度は下着の中に押し込められたモノがキツくなってきて、その感覚から逃げるようにモノを下着の外へと出して快感を与える。キス、キスがしたい。昨日の蕩けそうなキスがしたい。
「寝るのに欲情してどうするんですか。」
「ぁ…はっ。」
キスをしてほしくて、顔を上に向ければ呆れた顔をしてそう言われる。幻滅されたと一瞬にして現実に戻りかけると、撫でられていたはずの手が止まり、頭を固定されて待っていたキスを与えられた。
「雰囲気変わりましたよね。メス化っていうんですかね。」
「…お前だってそうだろ。」
自分でシていた手を退かされて、皐月の手で弄られる。自分でするよりもずっと気持ちいい。もっと、もっと強く。キスもまだ足りない。俺って、こんなんだったっけ。
「も、無理。」
息が苦しい。頭振られているみたいな感覚で気持ち悪い。だが、大丈夫だ。我慢できる。演技、得意だろ。
気持ちよさと、気持ち悪いのが混ざり合って、どっちなのかわからなくなる。楽になりたくて、皐月に手を伸ばせば抱き寄せ体を起こしてくれる。その少しの振動でプツンと我慢していたものが切れた。
「ゔおぇっ…、はっ、ゔっ。」
苦しさに少し紛れて楽になった。
「体調悪いなら、悪いって早く言えよ!」
珍しく、本気で怒った声。それを聞いて、口のベタベタ感と異臭、今の状況を一気に把握して体が固まる。俺、吐いた…のか?皐月がいる前で?
何でだ。演技得意だったはずだろ。我慢だって得意だったはずだろ。皐月と俺の服にベッタリとついたソレ。突き放すわけでもなく、俺を抱きかかえて軽くはない足取りでバスルームへと向かってる。自分よりもずっと重い俺のせいで。ダメだ、無理だ。もう終わった。完全にやらかした。
床の上に降ろされ、身につけていたズボンと下着を脱がされる。皐月は目の前で、汚れたTシャツとズボンだけ脱いで下着一枚。
何で、我慢できなかった?何で、吐いた?好きなやつの前だろ?醜い姿を見られたくなかったんじゃなかったのか?恋人になることが出来て、気が緩んでいるんじゃないのか?と、鏡に映った俺が俺に問いかけてくる。もう、無理だ。皐月が出て行ってしまったと思えば、すぐに戻ってきてペットボトルの水を注いだグラスを渡される。そして、口の中を濯げと言われるがままにうがいをする。
その間に、体を洗われてまるで介護されているみたいだ。
「馬鹿だろ、ほんと。吐いてしまうぐらい気持ち悪いのに、我慢して。」
いつもなら我慢できた。気づかれないまま、体調を治していた。
「俺、康介さんみたいに勘よくないから強がるなって言ったばかりだろ。それでも、気づかなかった俺も俺だけど。」
あっという間に、服も着させられベッドの上に戻された。布団は汚していなかったらしい。バレてしまったから、余計に気が抜けてしまって、何もできずにいる間にも、皐月は窓を開けて空気の換気をしたり、俺の熱を測ったり、薬と水と冷蔵庫に入れてあったゼリーを用意してくれたり、冷えピタを貼ったりと、俺のせいで動き回っているのに、俺は意識を手放した。
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