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負けず嫌い
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~ Kousuke’s side ~
結局、昨日は皐月が仕事をさせてくれず、夜には体調も回復していたから仕事を少しだけしようと思ったら、ベッドに連れて行かれ寝るよう促された。
仕事も家事も出来ない状態の自分を、心配していると言って看病までしてくれた。夜は誕生日以降ずっと続いて、抱きしめて寝てくれている。こんなにも自分が幸せでいいのかと思ってしまうが、この状況を手放したくはない。
「おはようございます。」
「おはよう。」
3日間、1日中ずっと一緒にいれたせいで今朝は、仕事に行くのがいつも異常に憂鬱になった。それなのに、相変わらず皐月は冷めていて、早く行けと半ば追い出される形で背中を押された。会社について既に帰りたい。だが、そんなオーラを出してはいけない立場。今日から出社する新入社員たちが、俺に挨拶をする。…皐月にもこんな時代があったな。
「三浦さん、おはようございます。」
「あぁ、おはよう。」
…社員としては優秀な戦力として育つだろう。ただ、皐月と接触させるわけにはいかないと俺の勘がそういう。身長も体型も似ているし、菊池も一緒に面接官としてその場にいたのだが、菊池でさえも俺と似ているという。雰囲気や体型が。嫌な予感しかない。それなのに、歓迎会がある。ただでさえ、私情で皐月を急遽在宅にさせて、まだ若いのに会社仲間と交流の場を与えていない。俺だって、そのことに罪悪感がないわけではない。だから、今回は、イベントぐらいは参加させようと思ったのだが。飯塚といい、新しく入ってきた井上といい…不安要素ばかりだ。
「三浦さん、皐月君から返事聞きました?」
「…参加させる。俺から言うつもりだったのに、余計なこと言いやがって。」
「別にいいじゃないですか、これぐらい。ただでさえ、独り占めしているくせに。」
「いいんだよ、もう俺のになったから。」
席変えはしていないため、俺、皐月がいた席、飯塚の順番で座っている為、見たくもない顔がすぐ見える。
朝から、喧嘩を売ってきやがって。だが、やっと皐月の恋人になれたし、行為も果たした。…体調も良くなったことだし、今日
やってくれるだろうか。とりえあず、前回のときのように無駄な手間を省かせるために、風呂に入ったとき先に自分である程度はほぐしておいて。あ、感度がよくなる方法を調べようと思っていたのに忘れてた。ミスったな。
「それ、思い込みなんじゃないですかー?」
「事実だ。だから、俺の許可なく個人チャットを飛ばすな。歓迎会も、俺の許可なく接触するんじゃねぇぞ。」
「…皐月君が可哀想に思えてきましたよ。絶対、俺と付き合ったほうが気楽で、幸せにできたのに。逃げたくなったら、いつでも俺のところへ飛び込んでおいでって、あとで送っておこう。」
「ふざけんな。」
「嫉妬深過ぎだし、束縛強すぎですよ。そんなんじゃ、すぐに愛想尽かされちゃいますよ。」
「ほっとけ。あいつを離す気ないから。」
お前が原因で、皐月を急遽在宅に戻したんだってのに。自分でも、嫉妬深さと束縛の強さを自覚している。だが、それぐらいに離したくないんだよ。
チラリと井上の席を見る。井上はディレクター志望なだけあって、知識もコミュニケーション能力もいい。専門で勉強したわけではなく、独自で勉強したり、企業の勉強会や業界の人たちが集まるセミナーなどに積極的に自主的に参加していたらしい。それだけあって、ある程度のことは出来ているから、教育係も楽だろう。すぐにでも即戦力になる。
井上が、男を恋愛対象として見れるかはわからない。だが、皐月には男性も引き寄せるようなモノをもっているし、外見も中性的でスタイルだって、骨ばってはいるものの細身だ。あー、皐月が自分から離れないっていう自身と余裕がほしい。
”飯塚に、お前が参加することを伝えておいたから、アイツにチャット送らなくていいぞ。”
”ありがとうございます”
先に手を回しておこうと、チャットを送ればそれ以降の返信はない。…冷たい。
”今日、帰りが多分10時過ぎになる。”
”わかりました。”
またブツッと終わる。起きていてくれるか?セックスがしたい。…頭ではそう考えていても、その言葉をチャットでは送りにくい。家にいるときは普通に言えるのにな。
どういう文章で送ろうか迷った結果、帰ったとき起きていることに懸けることにし、仕事にとりかかる。本当は、皐月が隣にいる環境で俺だって仕事がしたい。そうすれば、家でも会社でもずっと皐月を見ることが出来るし。…女性社員にも人気なんだよな、皐月は。飯塚にイライラして、俺が間違って皐月が飲んでいたお茶をこぼしてしまったときの、立場も関係なく俺を睨みつけ、説教をする姿は本当に怖かった。だが、まぁある1人の女性以外に対しての恐怖心はないから平気だったし、あの時はやってしまった事による焦りと、嫉妬心と、束縛と、皐月に嫌われてしまわないかの不安で頭の中がいっぱいいっぱいだったからかもしれないが。
午前中はこれから会議、午後からは打ち合わせが3件と、書類等の処理。…10時過ぎと送ったが、それまでに終わることが出来るか怪しいスケジュール。繁忙期は会社にとっては嬉しいが、個人としては忙しく、皐月と過ごす時間も減り、嬉しいわけではない。昨日、デザイン悩みこんでたな。…仕事を取ってくるのはディレクターで、下手すればそのディレクターによってどういうサイトを作るのかジャンルが偏る場合があるが、菊池はもうベテランだから広範囲に程良いバランスだから、いい具合に勉強になるだろう。
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