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徹夜明けのお泊り(3)
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まぁ、バスルームへと引きづられたものの、服を脱がなければこっちのもので。
「男同士なんだから、裸とか気にすんなって。」
「普段、セクハラしてくる人に言われても全く信用ないですけどね。」
「一緒に入ってくれよ。」
「絶対嫌です。ほら、さっさと行ってください。」
腰にタオルを巻いただけの三浦さんと、衣服を纏った俺との口論が5分ほど続いた結果、渋々三浦さんは1人で中へと入って行った。その様子を俺は確認した後、リビングに戻り広いソファの上に寝転がる。もはや、自分の家のように。このソファもまた、高いんだろうな。座り心地も寝心地も最高級だ。俺も、三浦さんの歳ぐらいになればそれなりには稼げているんだろうか。
いや、それはないな。年齢の前にまず、才能の違いがあるから。あの人のデザインは、人を魅了する。デザインだけじゃない、あの人はWebを作るという作業で、苦手な物が不得意な物が何もない。プログラムだって、コミュニケーション能力だって完璧だ。
「あー…寝転んだら余計に眠たくなってきた。」
寝ないようにと、テレビをつけるものの、朝だからかニュースぐらいしかしていない。あまりテレビを見ないせいか、興味がない。今、世間がどうなっているのかとかも興味がない。デザインの流行りとかは気になる。でも、芸能人の交際関係とかどうだっていい。恋愛ぐらい自由にさせてやれって感じ。…あぁ、つまんない。このままだと三浦さんが風呂から上がる前に寝てしまいそう。
さっき、ガリって言われて…言い返そうとしたものの、三浦さんの体つきを見れば、自分の体が貧相な事がよくわかって言い返せなかった。俺も鍛えるべきか。んー、でもそんな時間があるんだったら寝たい。今はとにかく、時間があれば寝たい。てっきり、インドアな仕事だと思ってたのに、見学とか写真や素材集めとかでアウトドア気味な気がする。三浦さんはなぁ、写真を撮るのも上手いからなぁ、何も言えない。
「寝るなよ。風呂、空いたから入ってこい。」
「…はい。」
そう言っても、動くのが面倒で中々動こうとしない俺をじーっと見てる。何となく、俺もじーっと見返してみる。
「お前…。」
「何ですか。」
「腹、チラ見せすんな。襲うぞ。」
「…お風呂借ります。」
マジな目で見てきたから、身の危険を感じてバスルームに逃げ込む。
三浦さんと恋人になれたら幸せだと思う。あんなにいい人はいない。けど、俺は三浦さんとは恋人にはなりたくない。
三浦さんが使い終わってすぐだからか、室内に石鹸のいい匂いがする。浴槽には、入浴剤まで。甘いけど、くどくない良い香り。こういう所、女子力が高い。シャンプーもコンディショナーも、ボディソープも良い香り。お湯の温度も丁度良い。…相性が良いのか、ただ単に三浦さんが完璧なだけなのか。
暖かいお湯に浸かると、疲れていた体と心が癒される。…お湯に浸かって寝たら、溺れて死ぬかな。全身がふやけるかな。気持ち良いから、このまま寝たいな。いちいち、浴槽から出て、体を拭いて、服を着て、寝るのが面倒に思えてくる。体を拭いて、服を着ている間は寒いわけだし。…長風呂したら、三浦さんが来そうだから早めに出ないとなぁ。三浦さん、疲れているんだろうけど、全然そう見えないのは何でだろう。
全てにおいて、三浦さんに勝てる所がない。経験の違い…なのか。
浴槽から出ると、いつの間にか置かれていた着替え。…アイロンしてる?皺がないし、綺麗に畳まれてる。…サイズが少しだけ大きい。自分よりも大きい人の服を着るのは三浦さんが初めて。光さんの時は、光さんが俺の服を着てたから。…ダボダボで可愛かったな。今頃、楽しい新婚生活を送っているんだろうか。奥さんにお弁当を作ってもらっているんだろうか。一人になった時、さみしがってはいないだろうか。…もう、外を怖がっていないだろうか。
…まだまだ未練タラタラだな。笑えてくる。
「み…うらさん。」
ソファに座っている、三浦さんに声をかけようと正面に回り込んだ。
腕を組んだまま、眠ってる…。しかも、髪の毛濡れてるし。徹夜続きで弱ってるんだから、風邪ひきますよって言いたいところだけど、俺が人に言えたセリフじゃないから心の中に閉まっておく。…三浦さんの寝顔ってあんまり見た事ないな。俺よりも後に寝て、俺よりも先に起きてるから。表に出てないだけで、結構疲れてたんだなぁ。結構、人の変化には気づく筈なんだけど、三浦さんはわかりにくい。案外、寝顔はいつもみたいにキリッとしてないから、何て言うんだろ。自然体で、こっちの方がいいかもしれない。別に、恋愛的な意味ではない。
んー、折角寝ているんだから起こさない方が良いか。でも、この体勢で寝たら、疲れも取れないだろうし。かと言って、自分よりも大きい人間を運べる力は俺にはないし。どうしようか悩んだ挙句、そーっと起こさないように上半身を倒させて、足をソファの上に上げる。枕と布団をベッドから持ってきて、頭の下に枕、布団を体に被せて上げる。いつも面倒見られっぱなしで、俺が三浦さんの面倒を見るの新鮮。
さて、俺も寝ようか。…どこで寝たらいいんだろう。きっと、三浦さんはベッドで寝ろって言うだろう。でも、俺は許可もなしにベッドで寝るのは気がひける。それに、ここの主人はソファで寝ているのに、部下でも後輩でもある俺がそんな人を差し置いてベッドを勝手に使わせてもらう勇気はない。ソファは、三浦さんが眠っている。…俺が寒いのが苦手だというと、三浦さんはこの部屋には似合わない炬燵を購入した。…炬燵で寝かせてもらおう。電源さえ入れなければ、文句は言わないだろう。一応、三浦さんの方が何倍も稼いでいるとはいえ、人の家だし電気代を気にしてしまう。
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