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16ミッションについて
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それから、中也はのぼせてしまい、私が中也をそっと抱えながら脱衣所まで運んで、服まで着させた。
抵抗しているのは分かるのだが、ヘナヘナの腕は私に届かず垂れてしまい、攻撃や抵抗と呼べたものではなかった。
起きた時間は6時とはいえ、何だかんだでもう7時半近くだ。
そろそろ身体も動かしたいのだが、中也を放っておくわけには……。
「太宰、手前そろそろ日課の時間だろ」
中也は、早急迄寝ていたベッドの寝具を直しながら私に問いかけた。
と、いうか、促したようだ。
「んー、まぁそうだけど、今日は……」
「俺は後、自分の部屋に行くから。面倒かけたな」
中也はベッドから降りて、ソファーの上に放置していた、血だらけのゴミと等しい襯衣を綺麗に畳んで脇に抱えた。
血はもう劣化と酸化で茶色くなっているが、ついこの間までその襯衣は、紅葉姐さんから貰った思い出だったんだ。
中也はきっと捨てないだろう。
「中也、今日ぐらい私の部屋にいなよ」
扉に向かって歩き出す中也を適当な言葉で止める。
「手前の部屋にいる意味は無いからよ」
「じゃあ」
私は殆ど、中也の言葉にかぶせるように台詞を継ぎ足した。
まるで、中也が帰ってしまうのをどうにかしてでも引き留めようとするように。
「私が中也の部屋に行く」
「は?何でだよ。」
まぁ、確かに、私が中也の部屋に行く必要性は皆無だ。
「これからのミッションについて対策を練るとか?」
「それは『ミッション』の事なのか『俺』がいることでの対策なのか、どっちだ」
「どっちもだ。」
と、言ったって、一番賢い方法は中也をミッションに連れていかないことなんだろうけど、明日のミッションは首領から直々の、『双黒』でのミッションだ。
中也の怪我のことを言えないとすれば、連れていかない選択肢はとれないのだ。
「君の傷は最低でも1週間はほしいだろう。その間、君にはミッションは次々来る。それも双黒だけのミッションじゃない。単独だって有るだろうし、緊急も予想される」
中也の部下が幾ら優秀でも、相手も生半可な敵ではない。怪我を負った状態で楽に勝てる程ではない。
それに、マフィアが中也にミッションを依頼するのは相当な相手の時だ。
知識と技量を兼ね備えていて、相手を油断させながらも懐まで入り込む。中也にしか出来ないミッションだって有る。
「……わかったよ。取り敢えず手前は身体動かしてこい」
中也は諦めたようにこちらにスタスタと戻ってくる。
従順か……。
「1時間、待ってられる?」
「……俺も行く……。」
おやまぁ。
中也にしては意外な答えだ。てっきり、『もう一回寝る』と言うと思ったのだけれど。
「1人が嫌なの?」
「…ンな訳あるか」
とか、言ってるけど本当は寂しいとか思っているんだろう。
怪我とか、大きな重いものを負った後、中也は大体1人になる事を嫌がっていた。
ミッションで負った傷が治るまで、成る可く部下や私と一緒にいる事が多かった筈だ。
それは多分、あの男達を避ける為だろう。
私と中也は身体を動かせる訓練室に2人で向かった。
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