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28計画
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時間の流れなんて、中也の傷をちゃんと癒してくれる程ゆったりはしていなかった。
1人で歩けるようにはなったものの、動きは身体の訛りも見えて不細工だ。
中也の夜のミッションはとても静かに動き出す。
部屋から出る際も、廊下を歩く時も実に静かだ。
外套の下のナイフも、拳銃も全く音が立たない。
────何故私が中也の様子を事細かく言えるかと言うと……
尾行してるからなんだよね☆
流石に現場までは行けないけれど、せめてあの男達がミッション前に手を出さないようにとは思っての行動だ。
あの日から約8日。
男達は私の情報を警戒したのか中也には近寄らない所か、敷地内に姿さえ姿を現さなかった。
逆にそれが嫌に気になり、やるとすれば今日のミッション帰りと睨んだ。
恐らくミッション前の状態を見て、中也がミッションから帰り次第連れ込む可能性が高い。
あの部屋もどうにかしなくては……。
「太宰さん」
「っ!!」
突然後から気配もなく声をかけられ、流石の私でも肩が飛び跳ねた。
「……芥川君……。君ねぇ、もう少し気配出せないの?」
コホコホと口元に手を当てたまま月明かりの落ちる窓際に歩いてくる。
マフィアに気配を出せって言っても、此の芥川君には殺気が限界だろうけど。
「太宰さんはこれから何処へ?」
「何で私が君なんかの質問に耳を貸さなくちゃいけないんだい?」
冷めた目で彼を見下ろすと、空中を見つめていた瞳がフイっと逸れた。
目を合わす勇気さえないくせに。
「…そう言えば、君も今からのミッションに入ってたね」
「……えぇ」
この子に言ったって仕方ないのかもしれないけど、まぁ、何かに繋がれば……
「戦闘中の君なんかに余裕が出来るはず無いんだけど、若し、若しも…」
途中でピクっと眉を動かしたけれど、芥川君は何も言わない。空気を少しは読めるのね。
「中也が蜉蝣の護りに入ったら、君が前線に出てね」
ミッションの戦策を見ると、最前線は中也。その後に蜉蝣。黒蜥蜴は潜伏戦闘になる。その筆頭は一応芥川君って事にはなってるけど、実際、黒蜥蜴は単体で動ける優秀な部隊だし。
「…………承知」
芥川君の外套が闇に消えるのを見送った。
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