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4中也
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心臓付近を抑えた傷だらけの手。
血に塗れたお洒落だった襯衣。
不規則に痙攣する左足。
そして────
痛みに耐えるように歪んだ中也の綺麗な顔───
「どういうことだよこれは……」
目の前に置かれた、相棒の状況。
どうにかしたいのだけれど、動かしていいのか分からない。
「おい中也、しっかりしろ!中也!!」
耳に口を近付けて、相棒の名前を呼ぶ。
「……ぁ…………?」
薄らと目が開いて、虚ろな瞳が宙をさ迷った後、私の姿を捉えた。
「な、んで……ここにっ……」
中也は今、『まずい』という顔をした。
掠れてひゅーひゅーとなる喉が、懸命に言葉を送り出す。
焦っている────。
私には『知られたくなかった』という顔──。
「っ…………」
「うっ……、」
中也の膝裏と、背中に手を回し、少しこちらに抱き寄せる。
そのまま、ゆっくりと立ち上がる。
「いっ、だざ……」
「中也、ちょっと我慢して」
血で汚れた口が、懸命にものを言う。
その姿さえも苦しくて、こちらが泣いてしまいそうな程だ。
震える手で、私のシャツをギュッと握る。
指先についていた血が、シャツに付着する。
触れた身体が、まだ止まっていない血をシャツ越しに感じる。
「中也、もう寝てなよ……」
「んや……うっ……」
歩き出すと、僅かな揺れが傷に響くらしくて、小さく何度も呻く。
ぴちゃ────ぴちゃ────
まだ落ちて新しい血溜まりがの上を通る。
ぬるぬるして滑りそうな───中也の血─。
細くて、感覚の狭い鉄格子。
暗い陰で黙っている拷問器具たち。
一片だけの血塗れた壁。
マフィアの基地にこんな所必要ないのに──。
裏切り者がいるのなら、拷問なんて生温いから
殺してしまう。
捕獲者がいるのなら、拷問なんてかけるまもなく吐いてしまう。
なのになんで中也は────────。
ボロボロの中也を見下ろすと、寝ている────よりは、意識を失っていた。
「中也────」
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