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6太宰(中也)
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視界に入る、天井。
起きたての意識を眠気に誘うベッド。
周りを見たくても、自分の意思では動かない身体。
頼りは視覚と嗅覚。
この匂い────俺の部屋じゃ……ない?
「太宰────?」
そこで、今までの出来事が一気に蘇った。
俺は、またあいつらに罰を────
それから────それから────……
「太宰が……────?」
堕ちかけた意識の中で、太宰が近くにいた気がする。
そう言えば、シャツが変わっている。
少し肩幅が大きめと思える、白いワイシャツだ。
俺はこんな色の持ってねぇ……。
しかも、腕や身体に、幾つもの包帯が巻かれている。
「────この、匂い……?」
布団から微かに感じた、覚えのある匂い。
自分の部屋よりも、ずっと落ち着く匂いが─。
「中也、起きたかい?」
「っ!?────太宰……」
この匂いの、この匂いのアイツが、暗闇の中、俺に気づいてくれた。
ベッドの側面にもたれていたのか、膝を立てて、俺の顔をのぞき込む。
「だざっ────ゴホッ、ゴホッガッ……」
怒鳴り声を出そうとした瞬間、喉に激痛が走り、思い切り咳き込む。
「中也!」
太宰は少し慌てたように俺の背中を摩った。
なんで、こいつ、こんなに、焦って────。
「中也、喉が傷ついてるんだ。もしかしたら内蔵もね」
「……なんで…お前が…」
喉がヒュー、ヒューと、傷口に空気が擦れて上手く声が出ない。
「……中也、説明してほしい。あの部屋は一体何?君はどうしてそうなってる?」
なんで、一番知られたくない奴に最初に知られちまうのか……。
いつに無く真剣な表情の太宰から、俺は顔を逸らした。
もし……こいつが知ったら────
「中也、話してくれないか?」
「……て前ぇには関係ない」
コイツまで、あいつらにやられるかもしれねぇ…
嫌でも憶えてしまった男達の顔。
見るだけで心臓が焦る顔。
恐怖で眩みそうになる顔。
あの痛みは────
太宰にだけは────────
「痛い……」
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