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11中也という奴
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なんだかんだ、基地の中を探索していたら、一時間は経ってしまっただろうか。
そろそろ部屋に戻ろうという意識が出始めた。
まぁ、戻ったって中也がいるぐらいだし。
自分の部屋の戸を開け、後ろ手で鍵を閉める。
マフィア内の日常では、個々の個室は鍵をかうべきだと思っている、私だけが行うことだ。
いや、中也も鍵は閉めてたか。
部屋の中央にあるソファーに腰をかける。
起きていたらまたあの部屋と男達のことを考えてしまいそうだ。
もう寝よう。
私はまたすぐ立ち上がり、部屋の隅のクローゼットルームに足を入れる。
確かここら辺に毛布をしまったはず。
「えーと……」
「……ぃ」
「中也?」
微かに、中也に呼ばれた気がした。
ガサガサと音を立ててしまうダンボールを置き、また部屋に戻る。
「中也?」
起きているのかともう一度声をかけ、ベッドに近付く。
「中也が泣いてる……」
苦しそうに眉をひそめた寝顔は中也の涙を引き立てる。
相棒が泣いてるところなんて初めて見た。
頬を伝ってシーツに垂れ落ちる涙は止まらない。
「……ざぃ」
また、中也が呼んだ。
恐らく夢を見ているのだろうけど。
夢の中でも、泣いてるんだ……。
「中也、朝になっても私を蹴り飛ばすなよ」
中也の体を気遣いながら、ふわふわ羽毛の布団へ身体を入れた。
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