アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
13献身的な太宰
-
********************
「中也、出来たよ」
出来立てのお粥を持って、まだベッドでグニグニしている中也に呼びかける。
まぁ、呼びかければ起きるから素直なのだけれども。
「身体起こせる?」
「ん。」
中也は少しだけ顔を歪めながらも、背筋を起こした。
やはり、骨にヒビでも入っているかな……。
起き上がった中也は頭をかいて、目をシパシパさせる。
……こうやって見ると、髪をしっかりセットしていない中也はなんとなく新鮮だ。髪が所々跳ねて寝癖がついている。
可愛い……
「ほら中也、中也のお好み通りだ。」
お粥の蓋を開けると、白いご飯の上には半熟卵がしっかり乗っている。
味見もしたし、不味い訳は無いね。
「食べれる?」
「たりメェだ」
さっきまでの可愛さはどこへやら、半ば横暴にスプーンを取り上げて、お粥を掬う。
「ぁっ……」
カランっ……
「あーもう中也、何やってんの。スプーンもろくに持てないの?」
恐らく指にチカラが入らなかったのだろう。銀のスプーンは掬ったお粥を零しながらトレイに落ちた。
「うるせぇ……」
それがどうも不服だった様で、俯いてしまう。
これぐらいでいじけるとは、中也もまだお子様だなぁ…。
「……仕方が無いな」
私はおもむろに落ちたスプーンを取り、一口お粥を掬う。
「……?」
「ほら中也、あーん」
その言葉に、首をかしげていた中也は一気に赤くなり朝から元気よく怒鳴った。
「な、なんで手前にんな事されなきゃなんねぇんだ!!」
「何でって、君がスプーンもろくに持てないから食べさせてあげようと思ったんだよ」
迷惑そう……と、言うよりは、恥ずかしそうな表情だ。
「いらねぇよ!!」
「え、中也お粥食べないの?じゃあ勿体無いから私が食べてしまうよ」
押して駄目なら引いてみる。
お粥の乗ったスプーンをそのまま自分の口へ運ぶ仕草を大胆に見せると案の定。
「っ、た、……」
「ん?」
「食べる!!……から、寄越せ……」
中也は私の左腕部分のワイシャツをぎゅっと握ってきた。
弱々しいくせに、最後の最後まで『我慢』と『遠慮』はしっかり守るんだから。
「最初からそう言いなよ。はい、あーん」
私が口に運ぼうとしたそのものを中也に向けて、再び口を開けるのを促した。
「……っ……」
中也は半ばヤケクソに大口を開ける。
「あは、餌付けしてるみたい」
「とっとと食わせろ!!」
キレ気味の中也を黙らせるために、口にお粥を流し込む。
「んむ」
「ど?」
「……まぁまぁ」
素直じゃないなぁ?。こういう時の感想は『美味しい』って言ってるようなものだよ。君は自分の性格を分かってないなぁ。
中也は口が空になったのか、再び口を開ける。
全く、此奴は厄介極まりないね。
スプーンで掬ったお粥を冷ましてあげながら、中也の口へ運ぶ。
完食は出来なくて、残りは私が片付けた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
13 / 34