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エルフと朝食2
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「こっちだ」
と、褐色の男に案内された畳部屋の中央には、小さめの座卓があった。
いや、小さめと言っても、四人で食事をする程度には問題は無さそうな大きさだけど。
その座卓の上は思った通り、『ザ・和食』という感じの美味しそうな料理が並んでいる。
「和食か、珍しいな」
七志乃が机の上の料理を見るなりそう言った。
「……?
この家では和食は珍しいんですか? 」
「うん、実は朝食に和食を出すことは、あまりなくて……」
「で、でも味は保証するよ!」と朝食を作った張本人が胸を張った。
確かにその言葉通りに、この朝食は見た目と香りだけで、美味しい料理をという事が分かる。
「さ、さぁ! 冷めない内に食べようよ!」
そう催促されるように、机の前で腰を落とす。
それに合わせて俺の隣には七志乃が、前には机を挟んで褐色と白皙の彼等が座った。
全員がその場に座ったのを確認すると、手を合わせて……
「「いただきます」」
――しかしこうやって、横にこの二人が並んでいると、瓜二つの顔だけあって、肌の色以外区別がつかなくなりそうだ。
「あの……二人は双子かなんかですか?」
それが気になり、ご飯を進める手を止めて問いかけてみる。
「……双子?
んー……双子って言えば双子なのかなぁ……?」
少し曖昧な回答が返ってきた。
「まぁ、同じ母体から同じ時期に生まれた、顔が似てる奴らを双子っていうなら双子なんじゃね。知らねぇけど」
そのあとに褐色の男が意味深ぽい様な、適当ぽい様な事を付け足す。
どうやらこの二人の事を、双子と捉えても大丈夫みたいだ。
会話が終わった少しの沈黙後、まず白皙の男が口を開いた。
「……そういえば僕達、まだ人間さんの名前を聞いてもないし、教えてもなかったね」
「確かに、まだ自己紹介してませんでしたもんね。
あ、オレは青鷺一也って名前です、宜しくお願いします」
そうやって一通り自己紹介をする。
「えっと……僕は『軌島 弓(きしま ゆみ)』だよ。
『ゆみ』でも『きゅう』でも好きに呼んでね。よろしく『カズヤさん』」
オレの後に続いて自己紹介をしてくれる白皙の男性。
彼の名前はどうやら「弓」というらしい。
なんかすこし女の子っぽい気がするが、七志乃の名前ほど珍しくはない……のかな?
(……『カズヤさん』って名前を呼ばれた時にドキッとしたのは心にしまっておこう……)
「俺は『軌島 剱(きしま つるぎ)』っ名前だ。
同じく、『つるぎ』でも『けん』でもどっちでも好きな方で呼んでくれ。よろしくな、坊主」
そして、最後に褐色の男が自己紹介をした。
「剱」とはなかなかカッコイイ名前だな。と率直な感想。しかし、名前が分かっても坊主呼ばわりなのかよ……。
そう考えながら、再び食べ進める手を動かした。
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