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201号室
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――ピンポーンとチャイムを押す。
弓と剱の部屋の前から一階上がって「吸血鬼」が住んでいるという部屋の前に訪れた。
手荷物には、あの双子から押しつけられたトマトジュースがあった。
なんでもここの吸血鬼はトマトジュースが好物らしい。
「201 坂崎」
と書かれた表札をちらりと見る。
(吸血鬼って聞いたけど、意外と普通の苗字なんだな)
インターホンを鳴らして数十秒後、
――ガッチャン
とドアの鍵が外れる音がした。
しかし、ドアが開く気配はしない。
「……?」
「入れ、と言ってるな」
困惑している俺に七志乃がそう言って、ドアノブに手を掛けると躊躇もなく人の家のドアを開けた。
色々言いたいことはあったが、仕方なくオレも七志乃の後に続いて玄関に上がる。
「暗い、ですね」
「この時間帯はいつもこんな感じだ、気にするな」
玄関のドアを閉めた途端、部屋全体が暗闇に包まれてしまった。
窓のカーテンは皆、締まりきっているようで、外からの光を少し足りとも入れてない。
(……しかし暗過ぎて何も見えないな……)
周囲が真っ暗なだけあって、狭い場所でも前後左右が分からなくなる。
……どうやら七志乃は、もう先に広い部屋へ向かっただ。
オレも、と壁を伝って七志乃の後を追うとした瞬間――
――――ガシッ
「―――っ!?」
突然何かに後から首あたりを掴まれた感覚。
『ふふふ……こんなに新鮮な生贄(人間)は久しいぞ、……』
何者かに耳元で囁かれる声が聞こえる。
官能的で、吐息をたっぷり含んだ甘い、青年の声。
普通の人間なら一瞬にして理性が吹き飛びそうな、そんな甘ったるい声。
――吸血鬼。
何故かその単語が再び脳裏を過ぎる。
『はぁ……、まずは何処から頂こうか……貴重なご馳走だ、やはりクビから――――』
「――悪ふざけはそこまでにしろ『サツキ』」
七志乃のその制止の声と共に、部屋中のカーテンが「ガラガラッ!」大きな音を立てて、一斉に開く。
外の光が部屋に降り注ぐと同時に、吸血鬼から身体の自由を取り戻した。
突然の眩しさに耐えながらも、さっきまで首を掴んできた吸血鬼を一目見ようと、咄嗟に後ろを振り返る。
「…………え?」
思わず目を丸くした。
「わ、我が家主よ! なんて事をするのだ!」
と恐らく七志乃に声を荒らげる、犯人と思わしき吸血鬼さん。
容姿はというと、肌は白く、結んだ銀の髪が目に付く美形中の美形。
いや、そこはいい。そこまではいい。
問題なのは――
「し、小学生……? 」
――見た目が幼すぎる事だった。
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