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吸血鬼の少年
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見た目は十歳前後の少年の姿だが、人間離れした容姿だし、彼が吸血鬼なのはま違いないだろうが……
なんか思っていたのと違うような、幼さ過ぎるような……。
そんな事を考えながら、目の前にいる少年の姿をまじまじと見つめる。
「な、なんだ人間、さっきから我の事を見つめおって……
はっ!? もしかして人間よ、我のこの愛くるしい姿に見とれておるのか……!?」
「……はい?」
何故か吸血鬼の少年は、オレの視線から目を逸らして顔を赤くしていた。
な、なんか凄い誤解をされた気がする……。
「う、うむ、まぁ、見惚れるのも無理はない! なぜなら我は――――」
と、そのまま誇らしそうに長々と語り出す少年。
どうしよう、喋り止まる気配が一向にない。
(……凄く対応に困るなぁ……)
“タスケテ! 七志乃さん!”
と向こう側にいる七志乃に全力で視線で語りかける。
七志乃がその視線に気づくと、やれやれとため息をついて口を開いた。
「サツキ」
「――――っ! な、なんか用か、我が家主よ」
恐らく『サツキ』というのがこの少年の名前だろうか。その自分の名前を呼ばれてハッと我に返る少年。
「そこの訪問者にお茶を出してくれないか」
「し、承知した! 暫し待たれ人間よ」
そう言って少年はキッチンの方へ駆け足で向かった。
「……まぁ見ての通り、アイツは少し変わっているが、素直だし悪いやつでは無いぞ」
「それは分かるですけど……」
確かに彼は悪い少年ではないと思う、が
首を掴まれたときはどうなるかと、かなりハラハラしたぞ……。
「それよりアオサギ、サツキに噛まれてはいないよな」
七志乃にそう言われて、咄嗟に自分の首元を確認する。
「噛まれては……ないですね」
「……それは、良かった。
さっきのサツキは地味に本気で、お前の首を噛みちぎろうとしていたからな」
――ゾワッと背筋に寒気が走った。
もしかしたらあと少しで首を噛みちぎられていた、と思うと恐怖を感じずにはいられなかった。
「安心しろ、アオサギ。お前がこのアパートにいる間は、お前の身体の安全は俺が保障する」
ぐっと拳を握る七志乃さん。
な、なんて逞しいんだ七志乃さん……!
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