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人外の住処
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「……ど、どういう場所なんですか? このアパートは……」
恐る恐る、褐色の男に聞き返した。
男はちらりと、意味ありげに七志乃に目配りをすると、七志乃が「はぁ」とため息をついた。
「……そうだな、最初にあった時に、このアパートがどういう場所か言っておくべきだったな」
「よく聴いといた方がいいぜ、坊主」と後ろでボソリと褐色の男が呟く。
謎の緊張感に、身体が固まる。
「このアパートには、人間は住んでいない。
……勿論、お前を抜いての話だけど」
――人間は住んでいない……?
「じゃ、じゃあ、この褐色の男性は……」
「俺か? 俺はお前らが俗にいう『ダークエルフ』って奴だ。ほら」
そう言って、尖った耳を見せびらかす様に、耳を大きく動かす男。
確かに、褐色の男の言動とか行動を見る限りでは、とても嘘をついているとは思えない。
「それじゃ、七志乃さんも……」
「……俺はその男の耳みたいに、特徴的な部分がないから分づらいかも知れないが、少なくとも人間ではないな」
……ゴクリと喉がなる。
「怖気づいたか坊主? 別の住処に引っ越すなら今の内――――」
「いや、オレ、このアパートでもなんだか、やって行けそうな気がします。
周りに人間が居ないのは、少し斬新だけど」
褐色の男の言葉を遮るように言う。
不思議と緊張はしているが、人間じゃないというこの二人を、前にしても恐怖はちっぽけも感じなかった。
それどころかワクワクとした胸の高鳴りを感じる。
「――そうか。それは良かった」
七志乃は安堵した口調で言った。
無意識に彼の方に顔が向く。
(あ、
すこし……笑ってる)
出会って初めての七志乃の笑顔(といっても口角が少し上がってるだけ)が、目に入る。
そんな彼の笑顔に見蕩れていると、
「あのー……人間さん」
「は、はい!?」
唐突にこれを掛けられ、勢いで返事をする。
声の主の方へ顔を向き直すと、褐色の男と同じ顔の白い肌の男性が正面に立っていた。
(あ、さっき玄関の奥の方にいた……)
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