アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
もっと彼を知りたくて1
-
葉月の住んでいるというアパートは確かに小さかった。
ここに住んでるんだ…
俺たちの学校の生徒は割りかしゆとりのある家庭が多い。
俺の家は中でも中の中といったところだろうが、清水なんかは両親が医者だと言っていたし、あの態度からしても余程の金持ちなのだろう。
だからこそそんな学校に首席で入るなんてどんな家の人なんだろうって思ってたのだけど…
ボロボロのアパートと聞いて想像はしていたものの予想以上だ。
「ビックリした?」
「あ、いや…っ」
慌てて否定したものの誤魔化せていないのはバレバレだ。
「いいんだよ、最初はみんな驚くから」
みんなって…
俺以外のセフレのこと?
「さ、どうぞ」
今時こんな鍵もあるのかというようなレトロな鍵を回すと玄関の扉が開く。
「おじゃまします…」
俺以外に何人セフレがいるのかとかそんなこと聞けるはずもなく、モヤモヤした気持ちのまま靴を脱ぐ。
入ってすぐのところにキッチンがあった。
そして奥に六畳の畳の部屋が続いている。
土壁なのかまだ昼間だというのに部屋全体が薄暗い。
それでも余計な物など置いていないからか、部屋の印象としてはやけにスッキリして見えた。
「今はここに一人で住んでるんだ」
「…今はって?」
葉月の顔を伺うと、少し寂しげな表情を浮かべて部屋の片隅を見つめている。
視線の先を追うようにして見ると、そこには仏壇の代わりなのだろうか、小さな机があって、その上にまだ真新しい位牌が置かれていた。
「父と二人暮らしだったんだけどね、、」
「あ、、お父さん…?」
そんな俺の言葉が聞こえているのかいないのか、葉月はふっと表情を和らげると「しんみりさせちゃったね、、」と俺を見て笑った。
家族がいない…
それは俺には想像もつかないような悲しいことで、辛いことだっていっぱいあるに違いない。
こういう時、何て声を掛けたらいいのかわからなくて、俺はただ「ごめん、、」としか言えなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
28 / 203