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「ぁぁっ、"ユウ"君っ、ユウ君…っ」
俺の家のベットで、俺に組み敷かれてそこそこある胸を揺らす女。
時々、バイトのシフトが深夜に入ってないときは一夜だけの関係を見つけて、こうして性欲を満たしてる。それは女でも、男でもどっちでも構わない。
『ユウ』君。自分の名前で呼ばれたくないが為に自分からそう名乗った。
愁、愁い、憂い…『ユウ』。単純な名前。
本名バレを恐れてる訳じゃなくて、単に自分の名前が嫌いだから。
この名前はあいつが、憎悪からつけた名前。そんな名前をたった数時間の関係の奴に呼んでもらいたくない。萎えるだけっつーか。
ー全然ヨくねえな…ー
心の中で舌打ちする。
否、ちゃんと感じれてはいるんだけれど、満たされない、心が。飢えていくばかりだ。
たかが性欲処理に何求めてんだって話だけど、ヨさそうに喘ぐ女を見てるとムシャクシャしてくる。
「すー……っ、糞…」
ー昴流ー
その時に呼びそうになるのは親友の名前だった。
あいつとするのは心が満たされた。名前を呼ばれるのも嫌な気はしなかった。
昴流といる心地良さを知ってしまったからか、それ以来昴流以外の誰とやっても心は満たされない。
かといって、あいつにはもう大切な人が居るわけで、互いに慰め合う関係はもう終わった。戻れない。
昴流は俺がしたいと言えば、きっと最後までじゃないなら俺のために「良いよ」って言ってくれるんだと思う。そういう奴だ。
けど、そうすれば俺らは親友じゃいられなくなる。昴流が幸せそうな顔が好きだから、もうあんな死んだような目をしてほしくないから関係を壊すようなことは出来ない。
「……なあ、『愁』って呼んでくれよ」
「しゅ、う…っ?」
「嗚呼」
いつものように、最中にそう頼んで今日はどうかと試す。どうせ結果なんて同じなのに。
「あっ、しゅう…っ愁く…あぁんっ」
ー嗚呼、今日も駄目かー
「ごめん、やっぱユウにしてそう呼ばれる方が好きだわ」
本当の名前で呼ばれ、求められたら何かが変わるんじゃないかと思って始めたそれ。
けど、それで1度も満たされることはなかった。それどころかただ余計にイライラするだけだった。
そして、行為が終わった後に残るのは虚しさ。
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