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「どうだったか?ヤって損は無かっただろ?」
「嗚呼…、すげぇ良かった。イった感じまだ残ってる」
「ふっ、そうか。まあ、暫くそのままでいな」
俺の頭をポンポンと撫でるとティッシュボックスごと取って、そっから何枚か取り出し、イく直前で抜いたのか、1人分にしては多い俺の腹にかかった精液を拭き取る。
綺麗になったらそのティッシュをゴミ箱に捨てて、またティッシュを取ってローションまみれの自信の性器と、俺のを軽く拭いた。
零とのセックスは確かに気持ち良かった。
あんだけ自信満々のを裏切らないくらいに。
「零」
「あ?」
「好きだ、零」
無性にその気持ちを伝えたくなったのは情事直後だからだろうか。
虚しくなるだけだったのに、今はそれが信じられないくらいに胸が熱い。
昴流も、椿と初めてヤった後こんな気持ちになったんだろうか。
「…お前が素直なのも良いな」
「ひぅ…っ?」
それに零はふっ、と笑って俺の首筋に顔を埋めてきつく吸ってきた。
ちくりとした痛み。
何だ、キスマークか。付けられるのは初めてだけど悪くないかもしれない。
「お前俺の前では嘘つくの止めろよ」
「…無理だろ」
俺の嘘は無くならない。
二重人格みたいな、あの"仮面"も消えることはない。
俺の傷は、きっと一生かけても癒えることはない。
「俺は臆病者なんだよ」
だから俺は悪魔になった。人を落とす存在になった。そうすれば俺は1人じゃない。
不幸なのは俺だけじゃなくなる。
「…んじゃあ、普段のお前のままでも良いから少しは素直になれよ」
「っ、俺の話聞いてたか…?」
「嗚呼、だから言ってんだろ素直になってみろって」
何を言ってるんだ零は。素直になんのも、嘘をつかなくなんのも意味は一緒だろ。言葉を逆にしただけじゃないか。
「『普段のお前のままでも良い』…お前の嘘は否定してねぇだろ」
「余計意味分かんねぇよ…」
言ってることが矛盾してる。
「お前の傷がどんだけ深いのか俺には分からねぇ。癒えるかどうかもな。でも違ぇだろ癒えんのと"乗り越える"のは。ワンコも後者なんじゃねぇのか?」
「は…?」
「羽が元に戻って谷底から地上へ飛んで戻るのと、"何年かけても崖をよじ登って地上に戻る"のとでは意味が違ぇよ。"結果"は同じだけどな。だから言ってんだろ今のお前のままでも良いから素直に…"人"になってみろって」
ー這い上がって来いよ、愁ー
「いつまでも待っといてやるよ"地上"でな」
ニィ、と歯を見せて零が笑う。
彼の笑顔を見ていると、言葉では表せない感情が沸き上がってきて、ポタリポタリと頬を伝ってシーツに染みが広がっていった。
「うん、ありがと"ゼロちゃん"」
俺が心臓を捧げ、今までしてきたことの過去は変えられない。俺が望んだ人に"戻る"ことは出来ない。
それでも、何メートル、何キロメートルと果てしなく深い谷底の上にお前が待ってくれているなら、俺は何年かけてでも何度落ちてもお前がいる地上へ戻ってみせるよ。
「"なってみせる"から待っててよね」
「嗚呼、せいぜい俺の飽きない内にな」
「いつまでも待つって言ったじゃん」
「あー、そうだったな」
ー生に飢えたワーウルフは人に"なれた"ー
ー愛されることによって、愛すことによってー
ーじゃあ、俺は?ー
「ゼロちゃんとなら、できる気がしてきたよ」
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