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「涼忘れ物は無い?大丈夫?」
「大丈夫大丈夫」
朝起こしてもらって、朝食を作ってもらって、それから見送りをしてもらって。
自分が昨日頼んだことではあるけれど、本当に新婚生活みたいだ。それをまた口に出すともう2度と昴流が俺が翌日に仕事がある日に泊まりに来てくれなくなりそうなので言いはしないが、いつもの朝とは違う充実感が確かにそこにはあった。
「あ、昴流1個忘れ物した」
「えっ、嘘。どこ?書斎?リビング?」
俺がそんな純粋な意味で言ってないと疑いもしないで「何を忘れたの」と視線を寄越してくる。俺には勿体無いくらいに真っ白で、健気で。こんなやり取りにすら俺が欲情しているなんて思ってもないことだろう。
「行ってらっしゃいのキスが欲しいなあ」
「え、きっきす…」
笑顔で言ってやれば白い肌を真っ赤に染めてプルプルと子犬みたいに震え出す。
恥ずかしがり屋で、そんなお前を見て何度押し倒してやりたいと思ったことだろう。
「ん、ほらちょーだい」
「どうしても…?」
「どうしても」
「…わかったよ」
しやすいように腰を屈めてやると恥ずかしがりながらも首に腕を回してキスをしてくれた。
すぐ離れてしまうんだろうと思いながらそのキスを堪能していると昴流の小さい舌が俺の唇を舐めてきて薄く唇を開けるとそれが口の中に入ってき、舌を絡め取られた。
予想外の行動に驚いて何も出来ないでいる俺の舌を吸うと昴流の唇は離れていって、今度は襟で隠れてる首筋の方へ。
チクリと何かに刺されるような痛みが走り、林檎みたいに顔を真っ赤にさせた昴流の顔が目の前に映った。
「…行って、らっしゃい」
目を合わせて言ってくれないのは照れ隠しなのか。その可愛さに意思が揺らぎ、仕事に行くのを止めそうになった。
「…ふふ、行ってきます」
「んぅっ…」
お返しに俺も同じ場所にキスマークをつけてやってこのままだと本当に休みの連絡を入れてしまいそうなので平然を装って家から出た。
今までにないくらいに駐車場へ向かう足取りは軽かった。
ー本気なんだけど…なんて言うのはまだ早いよなー
朝食の時、同居しようかと昴流に冗談ぽく言ったけど、本当は今日みたいな朝を毎日迎えれたらと思ってる。
俺が本気でそう思ってるってはっきりと言ってもよかったけど、昴流の事を考えるとそう言うことも出来ず、あのときは誤魔化した。
昴流は俺がその時はっきりと言っていれば俺に応えようと悩んでくれたはずで、言えなかったのは昴流が学生だってのも有るけど、その悩むときに流星さんと俺を天秤にかけるような事をさせたくなかった。
流星さんとの時間は昴流にとってはかけがえのない時間。それと俺の時間を比べるなんて昴流には辛い選択になるだろう。
「…だから、"予約"は許してね昴流」
もし昴流が流星さんと一緒に住むのを止めたとき、その時ははっきりと言わせてもらおう。
朝した話は、次に昴流が住む家の予約。今は深く考えなくても良いから頭の片隅には置いておいて欲しい新しい家。
今はまだ、それだけで良い。
…俺がこの話を打ち出せるのはいつになることやら。
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