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ショッピングモールをぐるぐると回ったり、近くの商店街に行ってみたり。
することはいつものデートと同じでも場所が違うから初めて涼と出掛けてるような気分になる。
…あ、別にいつものデートがつまらないってことではなくて。行き先が同じでも新しい発見とかあって飽きないからいつものデートも楽しい。
「これなんかどうですか~?」
「ちょっと明るすぎますかね」
今は涼が店の人と服のことで相談してて、俺はそれを隣で聞きながら陳列棚に並べられたり、ハンガーにかけられているシャツを涼が着そうな奴と思っては広げ、戻してを繰り返す。
センスの欠片もない俺にとっては服屋なんて難易度が高過ぎるが、涼と見て回るのは楽しい。服を見るのが楽しいんじゃなくて服を選んでる涼を見るのが。
俺と違って、ジャンルは決まってるけど服を何着も持ってる涼はお洒落好きの部類に入ると思う。それもあってか服を選ぶときは楽しそうで、そんな涼が可愛らしい。
「お友達は何か気になるものはないんですか~?」
「え、お、おれ…っ?」
店員と気に入ったらしいジャケットの色について相談してる涼を見ていたら声をかけられる。
まさか自分に話題を振られるとは思わず、その上涼といて友達って言われることなんて無いから余計に驚いてしまって声が裏返ってしまった。恥ずかしい。隣で涼が口元に手を当てて笑うのを堪えてる。失礼な。
「…俺は…その…」
こう言う時どうやって返したら良いのか分からなくて言葉が詰まる。
バイトとかで話すのは大丈夫でも客として話しかけられるのも話しかけるのも苦手だ。
涼が言うには俺は受付とか挨拶とか。そう言うちゃんと話さないといけないってスイッチ?が入ってない時以外は知らない人相手には口下手になってしまうらしいからそのせい?嗚呼、後ファッションとか興味ないせいでもあると思う。今回の場合。
返答に悩んでいると、隣で涼がクスリと笑い、間に入ってフォローを入れてくれた。
「この子、お洒落に関心がないんですよね」
「えー、勿体ない。すっごいモテそうなのに」
「そうなんですよね。前なんてパーカーを見てるからパーカーが好きなのかって聞いたんですけど、見てた理由が好きだからじゃなくて着やすそうだからって」
「お爺ちゃんみたいなこと言うんですね」
「本当に」
「おじ、いちゃ…」
お爺ちゃん…。何かそれ、その時涼にも言われた気がする。着やすさで選ぶのそんなに年寄臭い…??仕方ねぇじゃん。俺分かんねぇもん。コーディネートって奴。
楽そうなの選びたくなるじゃん。出来たら一日中スエットでいたいって思うじゃん。そんなにネタにされるようなこと…?…あ、この思考が本来お洒落したがりの年代では変なのかな…。愁は髪型よく変えたりしてるし、俺よりも服は持ってる。琉生は…クリスマス会とかの時今時の高校生って感じの服着てた。
…止めよう。考えてて悲しくなってくる。良いし、俺は涼と愁が選んでくれるから今時のファッションってのに見た目は多分遅れてないから。
「自発的に服を買おうとしない位にはファッションには興味を示さない子で。だから私が選んでるんですよね」
「へー…、じゃあこの服もなんですか?…くす、仲良しですね」
「ふふ、ええ。もう、すっごく…ね」
「っ…?!」
「すっごく」ってのが意味深な言葉に聞こえてならない。実際、そのつもりで言ったんだろう。涼を知っているから分かる。そう言う言い方だった。俺に意地の悪いことを言う時と同じ声のトーンだった。
「…あ、それなら服のお揃いとかはしないんですか?アクセサリーはしているみたいですけど…」
「嗚呼…、考えたことありませんでした。それも良いですね。…する?昴流」
「え、ふ、ふく…?」
服のお揃い。鍵のキーホルダーやぬいぐるみ、ピアスにネックレス、時計。沢山涼と一緒なのはあるけど、服はまだなかったっけ。
でも、服はアクセサリーと違って目立ちすぎる…?服とかって女子がしてるのしか見ない。
この店員さんみたいに「仲が良い友達」って見てくれる人以外にもやってるのが男だし、そりゃあいるだろう。
「めだつ、かも…」
「あー、男の人で服のお揃いってあまり見ないですもんね。女の人なら見ますけど…。…嗚呼、じゃあ同じ店で似たようなデザインの服にするとか」
「それなら同じ店のが好きなんだなって思われる程度じゃないですか?」と提案され、一理あるな、と頷く。
全部が全部同じだったら目立つだろうけど、時計みたいに店が同じ、とかデザインが似てるって服を選んだら同じのを着てるよりは目立たない。似たようなデザインの服を着てる人なんて何処にでもいる訳だし。
それなら…。嗚呼、でも。涼が俺に選んでくれるのと、涼が着るのは全くとは行かなくてもちょっとずれてる気がする。お揃い買っても涼は何でも似合うと思うけど俺に似合うのかなって不安になる。
「昴流に似合わない服俺が選ぶ訳無いだろ。…あ、これなんかどう?」
広げられた服はいつも選んでくれるのよりも可愛らしさが控えめな少し明るめの色をした編み模様があるハイネックセーター。もこもこしてて温かそう。
対して涼は暗めの色を選んで、種類の同じセーターを胸に当てて「どう?」と聞いてくる。
模様が入ってるから涼の雰囲気がちょっと変わってくる。普段はしゅってしてるけどこれはふわふわしてる…かも?
「かわい」
「む…、可愛いか…。昴流に言われるのはいっか」
どうやら可愛いが不服だったらしい。格好良いって言って欲しかったのかな。でも可愛かったんだもん。
涼が上機嫌で俺とお揃いの服店員さんと話ながら選んでるから、涼が笑ってくれるんなら服もお揃いでも良いかなあって。
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