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もう1度イケメン昴流を見たい気もするけど、今ここに昴流はいないし、この状況を見せるつもりもない。昴流がトイレから戻ってくる前にこいつら追い払わないと。
昴流結構やきもち焼きだし、でも自分には自信がなくて俺が誘われてるとこ見たら絶対しゅんってする。俺がお前以外を選ぶなんてこと有り得ないのに。
昔よりは自己否定が弱くなってきたと言えば弱くなってきたんだけど、もうちょい自分に自信を持って欲しい気もする。
まぁ、それは少しずつ改善させていくことにすれば良いかな。別に急ぐようなものでもないし。
今日は昴流に楽しんでもらいたいから泊まりで隣県に来た訳で、オブラートを何百層と包んで言ってもこいつらの存在は邪魔だ、邪魔。目障りだ。
「私は2人で。十分、楽しんでいますので」
こいつらが邪魔だと、言葉の1つ1つを強調して遠回しに伝える。
逆にさ、昴流以上に一緒にいて楽しいって思える奴いると思う?俺はお前らが何人の団体であっても、お前らの言う「多い方が楽しい」とは思えないと断言出来る。
まず年下って萎えてしまうポイントが既にあって。それから香水付け過ぎなのも、メイクが濃いのも、頭が弱いところも無理だな。
対して昴流はいつもシャンプーや洗剤の良い匂いだし、メイクなんてしてなくても可愛い。お前らみたいに喚かないし、何処かふわふわして抜けてて、危なっかしい所もあるけれど、気配りが出来る良い子。自分がしたいことも相手を優先して、俺が気付かなかったら自分からは言い出さずに我慢しちゃうような子で。相手が楽しいのなら自分も楽しいって言っちゃうような天使。
ほら、同じ年下でもこんなに違う。
どう足掻いたって昴流に勝てる筈がない。うちの子は天使だから。格が違うって言うか。まず同じ土俵に立ってないって言うかさ。
「えー、そんなこと言わずにさ。うちらのお勧めの店とか案内してあげるから。ここの近くに美味しい店があってー…」
「それじゃあ、私は別に味には拘りがないので案内してもらう必要ありませんね」
声音をきつめに変えて、液晶を弄って時間を確認しながら適当に返す。
俺にとって1番美味しい食べ物なんて昴流が作ってくれたものに決まってる。
味付けは昴流の中で固まってただろうに、俺に合うように味付けで試行錯誤してくれるあの健気さ。それに勝る味がある?ないって即答出来る。
…月曜日の弁当おかず何かなぁ。出張中の春巻き美味しかった。晩飯のロールキャベツも。それからシュークリームも。何個か持ってくれば良かった。
「絶対美味しいって思うから!」
「だから興味ないんですって」
ご自慢らしい胸に押し当てる形で腕を掴んでこられ、月曜日の献立を予想していたのにまたしても邪魔され。話の通じないモンスターにひくりと頬がひきつる。
コートに臭い移る。マジで止めて欲しい。自分以外のにおいが付くとか勘弁。昴流だけは別だけど。自分の服から他人の臭いがすると思ったら悪寒が走るし吐き気もする。帰ってからすぐ消臭剤かけよう。
そうやって、自分の体をアピールしていれば全員釣れると思っているんだろうか。明らかに歳が離れているのが分かって釣れる大人って。
…嗚呼、否でも。昴流にされるのは悪くない。昴流の場合無自覚で俺の腕に抱き付いてきてくるんだろうな。…やっばい、想像しただけで勃ちそう。男の子でも女の子でも煽り上手。昴流になら釣られても良い。と言うか釣って。何円でも貢いであげるから。
「あ、じゃあさ。お友達が良いって言ったら一緒に行かない?」
「…は?」
まさかそう来るとは思っておらず、何とか被れていた仮面が崩れる音。
昴流からメールが来たのは約5分前。混んでるって言っても男の方の混んでるなんて直ぐだ。ここから手洗い場の距離を考えてももう戻ってきてもおかしくない。もし戻ってきたらこいつら、マジで昴流に聞きかねない。
昴流が戻ってくる前にどっかにやさねぇとなぁ…。
席を離れるのは昴流が不安になっちゃうだろうし却下だ。今日は昴流の笑ってるとこ以外は見る予定はない。昴流のことだから少なくとも傷つくし、最悪ネガティブ思考に陥る。
「連れも断ると思いますので待つ理由はないかと」
「えー、つれないこと言わないでよお兄さん。そんなの聞いてみないと分かんないじゃん?」
ーガンッッー
昴流が座っていた俺の正面の席に座ろうとした、昴流が戻ってくるまで動かないと言う姿勢を見せたそいつらの中の1人が嫌でも視界に入った。
そこが昴流が座っていたとこってのと、俺の正面に回り、無理にでも俺と顔を合わせようとするそいつへの苛つきが重なって、我慢出来ず空いている拳を机に叩きつけた。
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