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「えー…っと…、私からは以上ですね。他に何か気になることがあれば…」
「…昴流あるか?」
「えっ、俺?」
完全に聞く身になっていたところでそんな質問をされて驚いてしまった。
こう言うのって保護者側から聞くもんじゃないのか…?俺から質問するものなの?…俺から聞くこと何かあるかなぁ。
「んー…?」
「不満でも何でも構いませんよ」
「不満…はない」
何でもと言われても言うことが思い付かないからきっとないんだろうから「大丈夫」って涼に伝える。
「ふふっ、そうですか。…お父さんやお兄さんの方からは?」
「私からは特に」
「俺もねぇな。"椿先生"を信じてますので」
兄さんが強調した涼の先生呼び。それに涼の眉がひくりと動いて、一瞬だけど苦虫を噛んだような顔になった。それほど古くからの友人に先生呼びされることに違和感があったのだろうか。「気持ち悪いから止めろ」って涼が心の中で言ってる気がした。
「流星はあんのか?」
「俺?…あー、そうだった。愁は進路決まってるんですか?」
少し、考えて聞きたいことを思い出した兄貴は、涼に愁のことを聞いた。
愁とは日常的に会話してる兄貴が涼にそんな質問をしたのは、涼に、ではなくて"教師"にしか分からない愁のことを聞きたかったからなんだろう。
「魔咲君…ですか?」
「愁も俺にとっては可愛い末っ子ですから。…あっ愁の方が誕生日早いから愁の方がお兄ちゃん…?」
「どっちにしたって弟だから順番とかどうでも良くねぇ…?双子にしとけ」
「でも双子にも上下あんだろ」
「じゃあ同じコンマ秒単位で生まれたことにすれば良いんじゃないですか」
「それ良いな」
3人の会話に取り残された俺。何で愁と俺が双子って話になった…?最初から追って考えよう。
兄貴が愁の進路も気になってるって言って、弟は弟だけど俺と愁どっちが兄になるんだって話になって…そっから話が発展していったのか。
どうやったって一ヶ月近くの差はコンマ秒まで圧縮できないから諦めろ兄貴。
本当の弟みたいに可愛がってる、ってだけでそこまで話が発展したことに流石の涼も苦笑いしてる。と言うかぽかん…?俺と同じでついていけないって顔してる。
「分かりました。それで魔咲君ですが…」
…あ、無理矢理会話を切った。
「魔咲君は美容系の就職希望みたいですね。そこで自分の腕を磨くとのことで」
「あー…愁髪弄ったりメイクすんの得意だもんな。…それこそ専門とか行けば良いのにな。勿体ねぇ」
愁は愁でいろいろと考えているみたい。
美容系。そう聞いて特に驚きはない。愁にぴったりだと思う。俺の髪結ったり、切るの上手だし美容院のバイトが一番長続きしてるのも知ってるし。
兄貴の言うことも分かる。折角そう言う才能があるんだからちゃんとした学校で勉強してからってのも道としてはある。
「それは私も言ったことはあるのですが、『職場でしか学べないこともあるから実践を積んで勉強していきたい』…と彼も彼なりにしっかりと考えてるみたいですね。彼がそう決めているのならもう私からアドバイスすることはなく、本人に任せています」
「どちらかと言えば進学したかった…と言うことは?」
「聞いた感じ未練はなさそうでしたね。本人は『もう学んでることは多いから学校行っても時間の無駄』とも言ってましたから。授業内容に必要性感じられないといった感じですかね」
「そうですか、ならよかったです」
愁は愁でちゃんと考えて、それで自分のベストをちゃんと見つけれてるみたい。
…応援したいって思う反面ちよっとそれが羨ましく、怖い。俺はその前の段階で悩んでるのに愁はしっかりと未来を見据えてる。ずっと愁は隣にいたはずなのに、いつか取り残されそうだ。俺も急がないと駄目なんだと思い知る。
「流星よりもしっかりしてますね」
「愁と流星交換するか?」
「それは名案ですね」
「どうせ俺は馬鹿だし元チンピラで就活失敗した塵ですよー」
「あわ…っ?!」
まさかの血の繋がった家族からの交換、基要らない発言。それに先までみたいに言い返しはしないで自棄になって肯定し、俺に抱きついてくる兄貴。「昴流だけは味方だもん」って言ってるみたい。とりあえずよしよししとく。
…うん、まぁ兄貴のことは心配しなくても大好きだけど。ちょっと腕の力強い。肋骨に当たってるからそれ。
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