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「…ここいつから馬鹿校になった?」
「今年から?」
「良く合格できたなー…」
俺ら3人、そいつを見て思ったのはそれ。ここは一応そこそこ偏差値があったはずで、こんな見た目馬鹿な奴はこいつを除けば誰一人としていない。俺と愁はピアスしてたり髪染めたりだけど、愁は理由あるから仕方ねぇし、俺は涼に外してって言われたらちゃんと外す。ただ、こいつは俺らよりも派手だ。この学校の偏差値が1年で一気に落ちたのを疑ってしまうくらいには。
「あ、それ俺馬鹿にされてる?ひっでぇ」
赤わかめは俺らが疑いの眼差しを向けるとケラケラと笑った。
「やっぱそうだ。"狂狼"ちゃんに"悪魔"。へぇ高校行ってるって噂マジだったんだ。…に、してもまぁ」
「っ…」
「かぁわいい顔っすね」
躊躇なく俺らの間合いに入ってきたそいつは俺の顔を覗き込んできて変わらぬ笑顔でそう呟く。涼が顔が気に入らないと言っていた理由が良く分かった。愁も良くしていたものだから知っている。涼も学校ではそうだ。こいつ、嘘ばっかな顔だ。本心からは笑ってない。
「女顔だったんだ。髪型変わったら見た目も変わるもんす…ねっと…あー、睨まないでくれません?あんたの"ルウちゃん"奪う気ねぇんで」
ペラペラと良く喋るそいつは、俺の隣からの殺気に初めて別の表情を、苦笑いを浮かべた。流石に殴られたくないのか手を前に出して害を与えるつもりはないとアピールする。
「おい愁、落ち着け」
「問題起こすのは避けた方が良い。相手一応1年だぞ」
愁がキレてんのは俺らにも分かったから俺らも俺らで愁をなだめる。愁が気に入らないタイプであからさまに挑発されてんだからキレるのも仕方ない。俺もちょっとイラっと来たし。でも殴るのは駄目だ。折角2年間処罰とかそう言うの何もなく過ごせてんだから。
「何の騒ぎですかあなた達」
ピリピリとした空気の中聞こえてきたふわりとした声。そちらの方に視線を向けると涼がいた。その後ろでは他の教師もちらちらと見てる。…嗚呼、涼問題を聞き付けた教師に押し付けられたってことね。ごめん。そしてありがとう、救世主。
「あーイケメン先生じゃん」
「…あなたは初日から問題が耐えませんね」
「やー、ただ会話してただけ!ごめんって~」
「謝るのならいい加減反省の色を見せなさい」
赤わかめに溜息を零し、説教をする涼の言い方的に注意したことは何度もあるようだ。
「…今回は見逃しますが、またこのようなことがあれば生徒指導も考えておりますのでそのつもりで」
「それってイケメン先生がすんの?」
「いえ、私はそのような暇はありませんしそもそも担当外ですので」
淡々と喋るその言い方は教師として赤わかめに接している涼としては珍しく興味なさそうな言い方だ。それほどまでに気に入らないってことなのか?
「分かったらさっさとクラスに戻りなさい」
「いてて…分かった!分かったから!」
涼が赤わかめの耳を引っ張ると、やっとそいつは涼の言うことに頷いた。涼の手によって1年の階へ連れ戻されることとなった赤毛は「あ!」と何か思い出したかのように声をあげ俺らの方を見た。
「俺、朝生田茜。よろしくねせーんぱい」
物凄く遅い自己紹介。出来ればよろしくしたくないと自己紹介だけで思ったのはこれが初めてかもしれない。
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