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大魔王様のお説教も終わり、これでいつも通りになる。…そう思っていたのだけれど、
「あ、の…りょ…」
「ん?」
「ち、ちかい…」
涼にデートに誘われ、外に出たまでは良かった。問題はその後。いつもよりも距離が近い気がしてならない。否、絶対そうだ。だっていつもは間が十分にあるのに、今にも肩がぶつかりそうだ。時々手も握ろうとしてくる。
「もう少し、その…」
「離れろって?」
「あ、嗚呼…」
「駄目」
俺の言いたいことを汲み取ってくれたから頷いてくれるかもって思ったのも束の間、あっさりと断られた。何で。またいつもの意地悪?でも、俺が嫌って言えばそれは止めてくれるし…。
「たまには違う旨のお仕置きも良いかなぁって」
「っはぁ…?!」
「恥ずかしいのを耐える?俺の気が済むまでこのままな」
開いた口が塞がらない。そんな。まだ朝生田の件のは続いていたのか。そりゃあ、そうだよな。思い返してみればお説教には決まって『お仕置き』って意味分かんない奴がついてきてて。それを涼の口から言われてないんだからこの可能性を疑うべきだったんだ。
でも、だからって外で実行するなんて。見られてるかもしれないのに。これなら室内でされるあれの方が……そっちもやだなぁ。どっちも恥ずかしい。
じゃあお仕置きって奴の分もお説教にしてくれ…も無理だな。俺はもう暫く大魔王様を見たくない。ごめん兄貴、琉生。皆。涼が大魔王様になってるの嫉妬して可愛いとか言ってきたけど確かに怖かった。自分にそれが向いたらマジで怖かった。
こうなってしまえば仕方ない。嫌だけど、凄く逃げだしたいけど、自分が蒔いた種だ。涼の気が済むまでなんだからきっとちょっとの間だ。我慢しよう。そうすれば普段通りに戻ってくれるんだから。
「昴流、そろそろお昼にしよっか」
「あ、う…うん…」
手を握られ店の前でストップをかけられる。そうされただけで『お仕置き』って意識しすぎてるせいか心臓が跳ねる。このくらいならいつでも涼はしてるのに、周りを気にしてキョロキョロ。
俺らを見てる人は…多分いない。セーフ。
店に入るとピーク時なのか数名順番待ちの人が椅子に座っていて、混雑時に出てくるあの名簿みたいなのがおかれてた。
涼は紙と一緒に置かれてたペンを取るとその紙にペンを走らせていく。
涼の字は綺麗。所々流しているところがあるが、マス目があったらそのマスぴったり、バランス良く書かれてるであろう字だ。俺は…丸文字だからこんな綺麗に書けない。時々愁と涼のこの綺麗さが羨ましくなる。
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