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「好きじゃなかった?」
「嫌」って言ったら涼はすぐに手を止めて、俺の頭をぽんぽんと撫でて嫌だと思った理由を尋ねてきた。涼とすんので嫌だと思ったことなんて今までなかった。でも、俺は過去がどうであれ形として行為を拒絶してしまった。それなのに涼の声はいつもと変わらない優しいものだった。
「昴流が嫌って言うなんて珍しいね」
「…ご、めん…」
「ふふ、良いよ。してみる?って言ったの俺だしね。いつも通りにしよっか」
拒絶されたんだから思うところはあるだろうに、俺が理由に答えれないでいると、それ以上は触れず嫌な顔1つせずに中断することに頷いてくれた。
昔っから涼はそうだ。その優しさに、凄く申し訳なくなる。
「すぅばる」
「ん…ぅ…っ?」
涼の手によって膝の上に座らされ、名前を呼ばれるや否や、唇に柔らかいものが重なる。
ソフトなものを何度も、何度も。快感を得るためのキスではなくて、ただただ、触れ合うだけのもの。
なのに、どうしてか。先までの虚しさがなくなっていって、物凄く心が満たされていく。絶頂に追いやられるほどのものではないけれど、これはこれで気持ち良いと思えた。
「りょ、ぉ…」
「気持ち良かったの?」
「ん…」
ぎゅうっ、と涼を力強く抱き締めると、くすくすと涼が可愛らしく笑う。その笑顔だけで、たったそれだけでも胸がぽかぽかとして。
…嗚呼なんだ。何となく、何となくだけど、先のが出来なかった理由が分かった気がする。
「りょおの、かお…見える方が、良い…」
あれは、互いに逆向きになってしまうから、涼の顔が見えない。それが、自分の中では嫌だったんだと思う。
後ろから挿れられるときもあるけれど、これは涼の顔が見えない分、涼って存在を声や、密着した体から伝わる体温が伝えてくれる。けど、それほど密着してなかったし、互いに触る訳だから互いの名前なんて呼べないし。
俺は、涼の存在を強く認識できる行為じゃないと幸せな気持ちにならないらしい。
「俺の顔?」
「ん…、その、し…しっくすないん…?は、見えなかったから…」
やっと解けた謎。涼に答えれなかったそれを今度は言葉にできた。俺がそう言ったら驚いたような顔をして、でもすぐにふわりと微笑んだ。
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