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「…ンー、まァ、"男嫌い"のボスがこんだけ触れんなら信じてやっても良いかもなァ」
「…え」
「…その、話は止めろ」
朝生田の行為に、俺が『兎』?であることへの疑いは晴れたらしく、密着していた朝生田の体が離れていく。
ただ、その代わりに、男から発せられた言葉に、今度は俺が耳を疑った。朝生田が、男嫌い。信じられなかった。だって、こいつは俺に凄ぇ絡んでくるし、体育祭で見た限りじゃあ同学年の男友達は多そうだった。嫌っているような素振りなかったのに。
けど、仲間である奴が言うなら本当だろうし、朝生田の触れてほしくなさそうな反応的に、少なからず苦手意識を持っていることは事実?
「まァ、そんなことよりも。今からこの『兎』と遊ぶのか?」
「あそ…?」
俺は相変わらずはてなマークで一杯だけど、彼らにとってみればそこまで大したことではないらしく、質問の内容が変わる。そこでもまた俺の頭の上にはてなマーク。
遊ぶって?恋人?みたいな相手と遊ぶんだから、デート、とか?うーん、嘘とは言え朝生田とデートは…する気にならないなぁ。また涼に怒られそうだし。もう熊でつられたりはしないぞ。
「…あー、そうそう。これから遊ぶんだよ」
「え、」
「な、"うさぎさん"」
俺はきっと曖昧に答えるんだろうと思っていたのに、朝生田は予想外にも彼らの問いに頷いてしまった。そしてくしゃりと俺の頭を撫でて、見たことのない位に優しく俺に微笑んで、同意を求めてきた。
嗚呼、こいつ『兎』って呼ぶ位のお気に入りにはこんな顔できるのか、って見た瞬間思った。まぁ、こいつがどんな顔をしようが『兎』じゃあない俺は関係のない話なのであまり深く考えないことにした。代わりにどう返答すべきか頭を働かせる。先、「黙って頷け」って言われたし、頷くのが正解…?
「ふは、じゃあ邪魔すんのは悪ィな。退散するとするわ」
俺がこくんと頷いたら、お仲間の方から笑い声がし、退散発言。
こいつらは互いに過干渉しない上で関係が成り立っているらしく、もっと言えば互いのプライベートに一切興味なし。少なくとも、朝生田とこいつらの間では。
だからもっと訳の分からない話は続くだろうと思っていたのだけれど、朝生田に用事があると知ればすぐに朝生田に背を向け手を軽く振り向こうへ行ってしまった。
先までのは一体何だったのか。いつの間にか俺と朝生田の2人だけに戻っていて、とりあえず窮地を逃れることはできたみたい?だ。
「…ごめんな狂ちゃん、耳」
「え、あ、うん」
お仲間がいなくなってからの第一声は謝罪。まぁ、あれには吃驚したけど俺が許せる範囲での行動だったからそこまで気にはしていない。
「マジでごめんな」
また謝罪。脅してきたと思えば今度は謝罪の嵐。こいつはやることがころころ変わる。けどまぁ、この謝罪は本心なんだろうと、こいつの表情とか、声音でそう感じる。何も見えないいつもの朝生田と違い、感情がちゃんと見える。
「本当は、あいつらに会わせる気はなかったんすよ」
…それでも、それとこれは話が別で、この言葉は信じられない。これが信じられない理由は朝生田が『赤』でいるときは俺に危害を加えるかもしれないとも取れることを既に言っているところにある。そんなこと言われてんのにはいそうですかと疑わずに頷くわけにはいかない。
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