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「…しつこすぎて殴る気にもならないんだけど」
「奇遇だな、俺もだ」
あの後球技大会は無事終わり、バスケはこのクラスが優勝した。
だが、その日を境に吉柳は毎日のように俺等に話し掛けてきて、そんで飽きもせず俺達をバスケ部に勧誘してくるようになった。
何でこいつが俺等にここまで拘るのか。
それは分からないがここまで来るとこの粘り強さも褒めたくなってくる。
「あのさあ、吉柳クン、俺達本当部活とかどうでも良いんだよね」
何度目か忘れたこの愁の台詞。
そして吉柳はこの台詞に決まっていかにバスケの才能があるのか、バスケのどこが良いのかを熱く語って返してくるのだ。
「だからバスケ部に…!」
「やだ。遊びでたまにするから面白いのであって部活となると、ねぇ…」
「同感。他のやつ誘え」
「体験入部だけでも良いから!」
「…体験ってやる意味なくね?」
「それな」
体験なんだから正式な入部ではない。
俺等を入部させたいのか、そうでないのかはっきりしない奴だ。
それとも、体験でも入部すればその気になってくれると思ったんだろうか。
1回したところで絶対俺等の意見は変わらないだろう。
第一、時間の無駄だとか、やる意味がないとか、面倒臭いとか。色々思う所はあるが、俺等はそれ以前の問題なんだ。
お互い放課後はバイトが入ってる。
愁はほぼ毎日。夕方がフリーである時は少ない。俺は毎日ではないし、放課後直ぐに入っているわけではないから部活は時間的には余裕で出来るんだけど、その分家事がある。
男の2人暮らし。兄貴が帰ってくるのが遅いから結果として俺が家事全般をしなければいけないのだ。
だから、まず俺等は部活に費やせるほどの時間は無い。
確か、部活って終わるのが最長でも7時で、そんなに長いことしている暇なんて無い。
…これも何回もしたやり取りなんだよなあ。
「諦め悪すぎて逆に凄いよね。流石スポーツマン」
「スポーツ馬鹿怖い」
「それ」
最初は直ぐ諦めてくれると思ってた。2回、3回。そん位断れば俺等が部活に入ることなないって。
だが、現実はこれだ。諦める気配など全くない。
……正直、俺達のほうが疲れてきた気もする。
「……はあ、これいつまで続くんだろ」
「…流石に1ヶ月したら諦めるんじゃねぇか…?」
「だよねー…そうあって欲しい。つか2週間でも長い方でしょ」
そう…だよな。
つか、長過ぎ?2日目突入した時点で「まだ勧誘すんのかよ」って思ったもん。
でもまぁ、そん位断り続けたらこいつも断るだろう。
…と、この時は思っていた。
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