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「50」
「あ?」
「ざっと50以上だ。もしかしたら80は越してたかもなぁ」
愁が口にしたその数字。
それは一体何を意味するものなのか見当がつかない涼は分からないと言うかわりに、眉間に皺を寄せた。
「あいつが病院送りにした数。しかも"全部"マジ切れした時の」
「は…?」
それに涼は足を止めてフリーズする。
だって、あの昴流が、だ。噂とは違い本当は温厚な性格である彼が、だ。
喧嘩をしていたのは涼も噂で聞いたことがあるから知っていたが、これ程とは思っていなかった。
それに、愁の言い方からして昴流は喧嘩をしても向こうが病院送り、つまりは入院しなければならない程の怪我を切れなければしたことが無かったのが窺える。
「んで手がつけられない状態になるから止めることも難しい。酷い時はサツが介入しても止まらなかった位に、な。そん時は吏さんと幸仁さんがどうにかしてくれたから助かったんだが…。…つまりあいつは切れたら"かなり厄介"なんだよ。久世が一言でも昴流の癇に障るような事言ったら…想像出来んだろ?」
その嫌な光景を想像したらゾッ、と悪寒が走った。
…確かに、"退学物"だ。否、この場合退学で済むのだろうか。本当にそのレベルだ。
愁が心配する理由が嫌な位に分かった。
…だが一点だけ疑問が残り、涼はその疑問を愁に問いかけた。
「お前の言い方からしてあいつが"マジ切れ"すんのは滅多にないんだろ?…何で"なる"と思う?」
「あいつがマジ切れすんのはワンパターンだからな」
「ワンパターン?」
「そう」
ー好きな奴を悪く言われるー
「…ビンゴだろ?」
「…嗚呼」
嫌な汗が涼の額を伝う。
どう言うことかと言うと、久世が昴流に接触したのは昴流に涼と別れるよう"説得"する為だ、恐らく。
久世が思う通りに上手く行けば"そう"はならないのだろうがこの2人が別れるなんてことはまあ、涼が"これ"だからまずあり得ないし、昴流が「はいそうですかなら仕方ないですね」と簡単に引き下がるとは思えない。
…久世の思い通りにことが進むことはまぁ、まずないと思って良い。
愁程十分に用意してから接触すれば話は別だが、噂で聞いた限りの"ああ言う"久世みたいな奴は手は大体決まり切っていて、2通り考えていれば良い方。
それで、思い通りにならなかったら周りに八つ当たりをする可能性が高いというのが愁の意見で、その八つ当たりの矛先が昴流に向いている間は彼が切れることを心配しなくても良いのだが…その矛先が間接的にも涼に向いてしまったら?
例え間接的でも恋人である人間を悪く言われたとなると愁の経験上なる、絶対に。
そして例えば、昴流が縛られ身動きが出来なければ話は別だが、そうでなく、自由の身であるとしたら。
何かしらのトラブルが重なっていない限り、昴流は必ず手を出し、最悪警察コースだ。
「だから早く見つけてあいつがマジになる前に久世から離さないと色々とやばーー……」
ーガタン…ッ、ガタガタ……ッー
愁の台詞を何かが倒れるような音が遮った。
その音が昴流が"切れた"合図だと判断した愁と涼は互いに顔を見合わせた後、軽く舌打ちをし、音が聞こえた方へ全速力で向かった。
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