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唐突であるが、俺は今涼とデパートに来ている。
その理由は東京は泊まりになるらしく、それは良いのだが俺が旅行用の鞄を持っていないから。
嗚呼、あと涼に「服買え」って言われたから。
俺の服のレパートリーは少ない。
持っているのは上下セットで5着くらいで全部愁が選んでくれたものだ。
金に困ってると思われそうな服の数だが、ただ単に興味がないんだ。ファッションとか、そういうのが。それに平日は制服な訳だし、服を多く持ってても意味無いような気がして。
だから自分から買いにいくことは全くといって良いほどに無く、現在のような数になったわけである。
…そして今はその服を買いにデパートに数多くある服屋の1つの中にいる。
「…お前それ好きなの?ずっとパーカー見てるけど」
パーカーを手にとっては戻し、別のパーカーを手にとっては戻しを繰り返していると、涼にそう聞かれた。
…いや別に好きとかじゃなくて着るのが楽そうだったからなんだけど…。
「ジジイかお前は…」
「…っわ、」
「これ着てみて」
押し付けられた服はパッと見、今着ているのとは真逆のもので、俺に似合うのだろうかとそれを片手に首をかしげていると、涼は「絶対似合うから」と自信げに言って俺を更衣室に押し込んだ。
「着替えたら俺に見せて」
俺の返事を聞かずにカーテンを閉めてしまった涼。少し涼は強引なところがある。
…だけどずっとなにもしない訳にもいかないので、仕方なく服を脱いで着替えていく。
広げてみればよくわかるが、涼が選んだ服は本当に愁が選んでくれるのとは正反対だ。
愁は白と黒がはっきりした…ロックな雰囲気があるものをよく選んでくれたのだけれど、涼は明るいけれど派手すぎない落ち着いた色で、大人っぽい。…可愛らしささえも感じるもの。
…違いすぎて本当に似合うのか不安になってきた。
「…あの、涼…」
「お、終わった?」
着替え終わって恐る恐るカーテンを開けてみると、それに気づいた涼が俺の格好を見て「可愛い」と唇で小さく弧を描いた。
「ああいうのも良いが可愛いのもやっぱり良いな。…うん、良い。似合ってる」
「…ほんとか?」
「俺が嘘言う訳ねえだろ」
こういうの着たことないからなんか違和感あるけど…、涼が似合うっていってくれんならそれで良いか。
「嗚呼、他にも昴流に着てもらいたいのが有るんだよね。はい次これ」
「え、あ…?」
「もうちょい俺に付き合ってね?」
俺が着替えてるときに持ってきたのかまた新しい服を押し付けられた。
俺に色んな服を選んでは着せる涼はとても楽しそうで、着せ替え人形になった気分だ。…俺に似合うと思ってしてくれているんだとは分かっているが。
そして涼の着せ替え人形に1時間近くなり続けた後、着せられた中でも涼が気に入っていた服のセットを3つほど買った。
ルンルンな涼の隣で俺は女子の買い物ってこんな感じなんだろうかと1人で女子の買い物を想像していた。
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