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止むを得ず進みながら食堂内を見渡して、やはりここは不良の巣窟なのかと再認識した。
あらゆる場所で椅子やら食器やら人やらが宙を飛び交っている。
なんだろうこれは新しい団欒スタイルなのだろうか。いつの間にこんなアクティブな国になったのか日本は。激しく参加したくない。おもてなし精神譲り合いの心を取り戻してくれ日本男児よ。
食事するのに命かけるなんてみんな元気が有り余ってるのだろうか。さすが。だが俺にはそんな元気ない!というわけで帰りたい!
しかしそんな俺の強い願いもむなしく、トラは席を見つけたようで急発進で走って行く。
俺の腕を掴んだままなので当然俺も走らされるわけで。
足がもつれないよう必死に動かしつつ周りの生徒を避けなければならないので、かなり体力と精神を消耗した。
ちょっと周り見てトラ!危うく不良さんにぶつかりそうになって超睨まれたよ俺!左目発動しちゃうよ!?校舎吹っ飛んじゃうよ!?
と、毒突きたいが、ぜーはーと息をするだけで言葉にはならなかった。自分の体力のなさを恨む。
「ラッキー!ちょうど席2つゲット!」
「……いやいやトラ?」
「ん?」
なんとか息を整えトラの台詞に顔を上げたが、ゲットしたという席を見て顔を引きつらせた。
「どう見てもこの席誰かが取ってる感じだよね?」
トラが椅子を引いて座ろうとしているまさにそこに飲みかけのペットボトルとお手拭きが置いてある。
まさか見えないと言うのか!?実は目が不自由なのか!?
しかしトラは「あぁ、これ」と当たり前のようにそのペットボトルを端に押しやった。
その上あろうことか勝手にお手拭きを袋から取り出して手を拭いている。
「これで問題なし!」
「な、なんという強行突破!トラもしや君最強か!?」
「おぉ!俺って最強!?よっしゃー!」
いやいやガッツポーズしてる場合じゃない。
明らかに事件勃発リーチかかってる。
早急にここから離れないと取り返しのつかないことになる!
全力でトラの手を引っ張って移動しようと画策するも、トラは全く動じず椅子に座りやがった。
なんっでビクともしないんだ!悔しい!
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