アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
25
-
味方なんだか敵なんだかよく分からないトラを恨みがましく睨みつけ、「というか、」とずっと気になっていたことを口にした。
「トラとこのお二方の関係は……?先輩、ですよね?」
いくらトラが礼儀知らずのお馬鹿さんだとしても、あまりに大胆な振る舞いだし、この2人の先輩もそれに対して特に怒る様子もない。
一学年に一クラスしかないこの校舎では、さっきの自分のクラスにいない生徒=先輩、のはずだ。
それともこっちでは上下関係もクソもねぇって感じなのだろうか。それはそれですごく納得だが怖い。
俺の疑問を受けてトラは改めて2人を俺に紹介した。
「さっきからうるさいこっちのヤンキーは2年の佐野 槙ね!喧嘩狂いの問題児!不用意に近付いちゃダメだよ!」
「おいコラてめぇぶっ潰すぞ」
「んでこちらが、我らが女王さぐふぉっ!!……ゴホン、同じく2年の桐生 翠サマ〜!こちらも不用意に馴れ馴れしくすると冷徹な裁きが下されるから気を付けて!」
うん、怖い。
お二方とも不用意に接触したら命危ないじゃないか。
そんでもってさっきから女王様の攻撃を立て続けに受けてるお前の方が何者なんだと聞きたい。
俺の胡乱げな視線に気が付いたのか、トラは決まり悪そうに笑った。
「実は俺、一回留年してるから本当はこいつらと同い年なんだよねぇ。中等部ん時からの仲だからさ〜」
「えっ、俺より年上なの?」
「そうなるねー」
衝撃のカミングアウトに呆然。
いや、まぁ、留年自体はトラならしてもおかしくないと思うけど。俺より年上って。
じゃあもし留年してなかったらトラは俺の先輩で、柳先輩とかって敬ってなきゃいけなかったかもしれないのか。
うわぁ。
「トラ、留年してくれてありがと」
「!!うん、俺も留年して良かった!おかげでツルとコンビ組めたんだもんな!」
いや、そういう意味じゃないんだが。
まぁいいか。
勘違いで感極まって俺に抱きつくトラを引っ剥がして、俺も改めて2人に頭を下げた。
「諸事情でこちらに移ってきました、望月 千鶴です。1年です。この呪われた左目は一応眼帯によって封印されているので安心して下さい。よろしくお願いします」
「礼儀正しいのか頭イカれてるのかよく分かんねぇヤツだな……」
「馬鹿は嫌いだからよろしくはしないよ」
おおう……女王様もとい桐生先輩手厳しい。
悪魔様もとい佐野先輩も呆れた視線を寄越すだけでよろしくしてくれる様子はない。
……やっぱりトラいてくれて良かったかも。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
26 / 90