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だがやはり頑丈すぎるトラには軽いダメージだったようで笑って倍返しされた。死にかけた。
「だからぁ、ツルはA組だったわけでしょ?つまりはお金持ちじゃん」
「や、俺は成績だけでAだったんだよ」
「でもツル、持ち上がりじゃなくて受験で入ったんだろ?中等部で見たことないし」
「うん、まぁそうだけど」
「SとAはほぼ持ち上がりのヤツらっしょ。そこは成績だけじゃなく家柄も上位じゃないと入れないはずだけど」
「うそ、まじで」
「大マジ」
予想外の事実に動揺してしまう。
そんなの聞いてない。誰だ俺をそんな大層なクラスに入れたのは。おかげで大顰蹙くらったわ。
「なぜそんな上位層組に俺が?」
「俺に聞かれても……本当にお前ん家庶民なの?」
「あー、いや、うーん、……まぁまぁな感じ?」
「どっちだよ!」
「カップ麺食べ慣れてるくらいの育ちです」
「……いい感じに庶民か?」
「そうそう」
なんとかトラが納得したところで、厨房のおばちゃんがはいよ!と元気な声とともに料理を出してくれた。
トラは唐揚げ丼だ。ただの白米に唐揚げとキャベツの千切り少々を乗せただけのこのビジュアルに無頓着な感じにたまらなく安心感を覚える。
そして俺のきつねうどん。
久方ぶりに見る白く太い麺。大きな茶色いお揚げ。白と茶色だけのシンプルな見た目。
この、食べられることになんの抵抗も見せないビジュアルがいいんだよ。
ナントカ仕立ての〜とかってやつは食べられるためのビジュアルじゃないからね。やたら綺麗に繊細に盛り付けられてて食べることを躊躇させられるから。ダメよあれは。美味しいけども。
一人で感無量になってきつねうどんを眺めていたが、後ろの不良さんに睨まれて慌てて席についたお三方の方へ移動した。
あれっ、てかナチュラルにこのお二人とも一緒に食事する感じなんですか。
俺まだ打ち解けてないしなんならちょっと怖いんだけども……。
そんな思いを込めてトラを見つめるが気付いてくれるはずもなく。
座るよう促されて仕方なくトラの隣に腰を下ろした。
佐野先輩と桐生先輩を目の前にうどんすすれってか。汁飛ばしでもしたら一発やられるよね。細心の注意を払わなきゃじゃん……。
すでに食べ始めている3人にならい、内心ビクビクしながら「いただきます」と小さく呟いてから箸を持った。
ちなみに佐野先輩は牛丼、桐生先輩は生姜焼き定食だ。
3人とも肉々しいな。なんか俺恥ずかしい。
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