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クラスメイト達はターゲットを俺から外し、不満げな声をトラに向けた。
「柳ィ、お前もなんでコイツにそんな懐いてんだよ」
「喧嘩もろくに出来なそうなヤツ、取り入ったって役に立たねぇだろ」
「馬鹿同士で気ィ合うのかもしんねぇけどさー」
「えっ俺は馬鹿じゃねーよ!?」
「俺も馬鹿じゃないし!」
全力で否定したが白い目を向けられた。
さっき俺に言い負かされたくせになんだその態度は。
お前らなんて先輩らの殺気に比べたらもう怖くないんだからな!
キッと睨みつけるも全員に睨み返され目を逸らした。
さすがに大勢で来られると怖かった。
トラが席を立ち近付いて来たかと思ったら、慣れたように俺の肩に腕を回した。
この体勢好きなのかなこの子。重いんだけども。
「お前らまだ分かんねーの?こいつがすげーヤツだって」
「すげー頭おかしいのは分かる」
「それもあるけど」
「あるんかい」
思わず口を挟んでしまった。
しかし俺のツッコミも無視してトラは続ける。
「さっきもそうだけど、こいつお前らみたいな顔面凶器を前にしても物怖じしねーじゃん。むしろ食ってかかってさ」
「……まぁ、その度胸は認めるけどよ……」
(顔面凶器否定しないんだ)
「それに、槙らにも媚び売ったりしねーし。本校舎のネコみたいに貧弱ぶりっ子だったらさっさと追い出したけど、こいつ違うし。俺の好きなタイプ!」
そう言って、ニカッといい笑顔を俺に向ける。
俺はそれに半笑いしか返せない。
あの先輩たちに媚び売るなんて、難易度高すぎて誰も出来ないと思うけど。
しかもトラ何気に怖いこと言ってる。
そんでもってタイプってなんだ。この学校じゃその言い方だと誤解されるからやめろ。お前に言われても嬉しくないぞ。
色々と言いたいことはあったが何とか飲み込んだ。
どうしてトラが俺のことをそんなに気に入ってくれたのか分からないが、彼なりに俺を庇ってくれているのだろう。
でも、それじゃダメだろう。
俺は肩からトラの腕を下ろして少し押しやる。
いまだ納得のいかない顔をするクラスメイト達を見渡し、口を開いた。
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